マンダレーの唄

水原麻以

マンダレー小唄

何がこの世で一番怖いって、思い出ほど怖いものは無い。煌びやかな姿で忍び寄り、刺激的に振る舞い、痛恨の一撃を残して忽然と消え去る。痛痒の余韻は日薬で癒えるが、寛解するとは限らない。脳内麻薬が瘡蓋をセピア色に染め、痛覚を淡く麻痺させているに過ぎない。

思い出は魅了する。誰にでも一度は訪れる黄金時代。煌びやかで生きる喜びや人生の意味を心で噛み締める快感。過去の栄光はモルヒネ投与になる。

だが、それは副作用を伴う。強烈な念はこの世に焼き付くのだ。

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