ここから出たらぶっ殺してやる。
どこのどいつだか知らないが、ここから出たらぶっ殺してやる。
死ね!
死ね!
死ね死ね死ね!
絶対に倒してやるからな。開口一番、喉を掻っ切ってやる。
待ってろよ。
あっ、そろそろ五分経過。
頼んだぞ、次の俺!
◇ ◇ ◇
「こ、これは?!」
蝋燭の密林が揺らめくダンジョンの最奥部。
身の丈三メートルはあろうかという巨漢が青ざめている。
正体不明の骨格や木乃伊のアクセサリを纏ったまま、ぶるぶると震えるさまは魔王の名に恥じるというものだ。
禍々しい色に光り輝く水晶玉。それに照らされて勇者が不気味な笑みを浮かべている。
「俺を抹殺しなかったのは『善意』が必要になると思ったからだろ? 性善説が無くちゃ人間を騙せないものな。嘘は悪意の主食だものな」
「お、お前の言うとおりだ。裏切られる善意があってこそ、俺たちの悪事が成立するというものだ。だが、お前を保存したのは間違いだったようだ。ううっ」
魔王はこめかみを揉みながら嗚咽した。
「光の勇者が自力で封印を破ったんだものな。しかも、悪意をバネにして。で、どーするよ」
かつての「俺」氏は聖剣を魔王の喉元に突き付けた。相手はぐうの音も出ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます