補完編その2 エピローグに至るまでの(改心して侍女になるまでの)お話 俯瞰視点(7)

 ジュリエットとテオによって悪夢から解放された、マリィ。彼女は目を覚ますや、


「……お姉様は、わたくしが考えているようなではありませんでした……っ! そういった風に、見えてしまっていただけ。何もかも、わたくしの僻みだったのですわっ!!」


 生まれて初めて、真実を理解。非常に誤った確信が理由となってはいますが、ようやく事実を認識することができました。


「お姉様はあんなにもお優しく、慈愛に満ちた御方……っ。テオ様は自らの評判達を犠牲に改心を促してくださる、器の大きな御方……っ。…………これからは、頂いたご恩を返していかなければなりませんわ……!!」


 これまでは散々、恩を仇で返してきてしまった。マリィはそんな蛮行悪行を心から後悔し、ベッドの上で大粒の涙を流しながら誓ったのです。


「テオ様は、ジュリエットお姉様が幸せである事が何よりの幸せ。でしたら、ええ。ええ……っ。わたくしが取るべき行動は、一つしかありませんわっ!」


 ジュリエットの侍女となって、一生涯支える。


 だってわたくし達は、この世で唯一の姉妹! ずっと傍で暮らし、今はもう、誰よりも――テオ様の次に、お姉様を熟知している人間なんですものっ。痒いところに手が届くのは、同性ではわたくしのみ!! お2人の幸せになるというわたくしの幸せも実現できてしまう、完璧な名案ですわっ!!

 きっと他にも良い方法はあるはずなのですが、彼女の中ではそれがベスト。そのため、


「マリィ。本当に、それでいいのかな? 考え直して、みない?」

「君の気持はジュリエットも俺も嬉しく、とても有り難いが……。もう少しだけ、視野を広げてみるべきだと思うんだよ」

「いえっ! 再考の必要などありませんわっ!! これらは本心ですのっ!!」


「マリィ……。お前はもう少し、自分のために生きてもいいんじゃないのか……?」

「ジュリエットもテオ様も、何度も確認していたわよ。本当に、それでいいの?」

「お父様お母様、これがわたくしの望む道ですわ。それこそが、喜びですわ……!」


 何を言われても、聞く耳を持ちません。

 性悪妹、マリィ・ミラ。彼女はこうして異常なまでに改心し、とてつもなく変わった形ではあるのですが――。テオ、ジュリエット、マリィ。3人はその後他国にも知れ渡るほどに有名な、仲良しな夫婦であり姉妹であり義兄義妹であり主従となったのでした。







 皆様。読んでくださり、ありがとうございます。

 今回でマリィに関する補完編はおしまいとなりまして、次からは、テオに関する補完編を投稿させていただきます。

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