-第4話-嬉しい誤算

第3話まで改稿しました!読みやすくしたり分量増やしたりしたのでよければ読み直してください!

※※ ※※


幸せにするとはなんだろうか。


俺は安芸さんからのお願いを受けてからずっとそればっかりを考えている。


学校一の美少女のである彼女からの「私を幸せにして」というお願い。これは彼女なりのSOSなのだろうか。それとも本当に愛の告白なのだろうか。


ダメだ、告白された経験がないからどうやって断ったらいいのか分からなくて授業に身が入らない。元からというツッコミは禁止だ。


まあ、普通に考えて告白という線はないだろう。


彼女のようなマンモス校で全員に認知されているような人気者が俺のような陰キャで友達いないやつに告白するわけが無い。


タチの悪い告白ドッキリとや罰ゲームでの告白という可能性もあるが、彼女のような天使がそんな悪趣味なことはして来ないだろうしありえない、


となると、やはり彼女からの助けを求める声なのだろうか。


だが彼女が困っている要素が見当たらない。


人の心が病む原因としては学校での人間関係や学校でのストレスが多いだろう。


安芸さんの人間関係...確かに一目置かれていて仲良いような人は少なさそうだが、取り巻きもいるし決して虐められたりはないだろう。


また学校でのストレスも彼女のことだからテストの点数も上位だろうし、運動もよく出来るのだろう。


そんなスペックなんだから先生からの評価もいいし絶対にストレスなんて抱えてないだろう。


つまり、どういうことなんだ?


助けを求めているわけでも告白でもないとなると本当に昼の彼女の言葉の意味がわからない。


そう考えていたところで壇上に立っていた数学教師がチョークを置き、6限の終了を報せるチャイムがなった。


俺は終礼をするために教室に担任が入ってくるよりも先に筆箱や水筒を鞄に入れ、いつでも帰れるように支度を終えた。


しばらくして教師が出席簿を持って教壇の前に立ち、諸連絡をして今日はお開きとなった。


他のクラスメイトたちは「このあとカラオケ行かない?」などと談笑しながら鞄に荷物を詰めていたが、俺は既に支度が終わっていたので教室から出ようとした。


しかしなにやらさっきから視線を感じる。


構わずドアに向かって直進しているとまたもや梨花さんと対面した。


「山口くん授業お疲れ様です」


「いやいや、君も受けてたでしょ」


「まあそうですけど、私は最近は授業中寝てばっかですね」


「真面目そうなのに、珍しいね、疲れてるの?」


「まあ、そんなところですかね、最近忙しくて」


いかにも先程教室の中で見た陽キャたちのようにカラオケとかに入り浸ってそうな容姿をしている彼女だが忙しいらしい。


安芸さんの付き人らしいし安芸さん関係で忙しいのだろうか。そこを聞くのは野暮だろうし流していいのかな。


「それで、急に俺なんかを呼び止めてどうしたの?お願いは聞くっていう話で付いたじゃん」


「そう、その件なのですが...」


「やっぱり俺じゃダメだった?よし仕方ないね。次の人を探すの頑張って」


「いえ、そうじゃないです。あなた以外に頼むわけないじゃないですか。」


「俺より優れた人なんていっぱいいるよ」


「自分が最適だなんて言う人ほど人間関係では信用できません。で、お嬢様を幸せにすると言ってもどうすればいいのかわからないと思うので、すこしでもヒントになればと思いお嬢様と連絡先を交換してみてはと思いまして」


なるほど。その手があったか。


俺はさっきまでどうして安芸さんからお願いされたのか疑問に思っていたが、それを解決する手段が向こうから提供されるとは思ってもいなかった。


だが困ってる人に何か困っていることある?と聞いても逆効果で心を閉ざしてしまうから直接的には聞けないな。


でも俺は友達のいないぼっちだから気の利いた遠回しな聞き方は出来ないしやはり自分で彼女の真意については考えるしかないだろう。


「分かった。というかなんで安芸さんと交換するのにここにいないの?」


「お嬢様は世間像もあるので人前で殿方と一緒に居られるのを見られるのはまずいので」


1国の大企業のご令嬢なわけだし変な虫がつかないようにというのも納得できるな。


もし仮に変な根も葉もない噂が出てしまえば損害は安芸さん本人だけでなく遠くの人間が不利益を蒙ってしまうかもしれないしな。


「なるほどね。どこに行けばいいの?昼休みの場所で大丈夫かな?」


梨花さんは無言で頷いていた。


一日の間に2回も女の子と2人きりで歩くとは思ってもいなかったな。


どっちも目当ては別の女の子だけど。


※※ ※※


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