-第1章-出会い、そしてお願い
-第1話-天使様とは
俺、山口親鸞は今日も7時20分にセットした目覚ましに叩き起され登校した。
これから向かうのは全生徒2000人以上を誇るマンモス校。
偏差値は進学校とは言えないものの悪くもない、部活動も強い生徒がいれば全国大会に出場することが出来るくらいのレベル。
そんなちょっと生徒数が多いだけが取り柄のどこにでもありそうな普通のところだ。
俺の家から電車で1本、3駅ほど乗ったところで最寄り駅に着いたので下車する。
ドア付近にたっていた俺がサラリーマンの束の中を割り行ってドアに向かうわけでもなく、1番初めに降りると後ろに続いて何人ものうちの学校だと思われる生徒が連なって降りてくる。
改札を出て辺りを見渡すと、もう同校の生徒しかいない。
みんな紺色のブレザーを着て同じ大きさの鞄を持ち、女子ならスカートを一定の長さに揃えているから1目見るだけでわかる。
みんな同じに見えるし、個性なんてあったものじゃない。もしここで同じクラスの人がいても、見分けることが出来ないから声をかけられる気がしない。
まあ、もともとクラスの人なんて顔も覚えてないが。
「今日も綺麗だな」
「さすがはうちの学校1の天使様だ」
そんな有象無象の中で全員から注目されている生徒がただ1人いた。
学校に向けて同じ方向に歩いている生徒たちがたわいも無い話を1度止め、彼女の方に顔を向け彼女の話を始める。
クラスメイトの顔すら覚えていない俺でもその綺麗に腰の当たりまで伸びた黒髪に、凛とした顔それでいて挨拶をしてきた生徒には笑顔で挨拶を返すそんな大和撫子に視線を奪われてしまう。
そんな唯一無二な美少女はうちの学校で「天使」と呼ばれている安芸美玲さんだ。
毎日のようにクラスの男子たちが噂をしていて、名前を聞いているから嫌でも2つ名まで覚えてしまった。
「美玲さんおはようございます」
「ええ、おはようございます」
彼女は後ろに2人ほどの取り巻きを従えていつものように挨拶を返していく。
彼女は美少女なだけではなく、日本の大手商社のご令嬢だというから様々な目論見を持った生徒から声をかけられている。
あの男子はきっと美玲さん自身を狙っていて近づきたいのだろうし、あの眼鏡をかけた大人しそうな女子は仲良くなることですこしでも自分のクラスカースト内での順位を上げたいのだろう。
自分が利用されるかもしれないと気づいていながらも笑顔で丁寧に挨拶を返していく彼女の姿はまるで本当の天使のようだ。
並の人間なら何回も何回も話しかけられると、そのポーカーフェイスを崩してしまうだろうし対応に疲れてしまうだろう。
俺が一生関わることもないだろうし、憧れることもない存在だ。
本当に雲の上の存在とは彼女のような存在のことを言うのだろうな。
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