小人ステイホームして不善を…

水原麻以

新宿三丁目自爆テロの真実をあば(読み取りエラー

「うわー!」「爆発だ」「テロか?」「おおい!誰か救急sぎゃーっ!」

年の瀬も押しつまった新宿三丁目。まばらな人通りで4トン保冷車が突如として自爆した。

ぴったりと横付けしていた建物では福袋やおせち料理の詰め込み作業がピークを迎えていた。それが粉微塵に吹き飛び崩れた鉄骨やコンクリートの破片が七百メートル離れた住宅街にまで及んだ。ステイホームで静かな年末年始を過ごしていた世帯に飛び火し百棟以上が類焼した。SNSの投稿動画を引用しつつワイドショーが速報する。

「未確認情報によると運転席に人がいた模様です」

「何か叫び声が聞こえますが本人の物でしょうか」

コメンテーターが指摘する。

「なるほど。かすかに。ただ不明瞭で内容まではわかりません」

司会者がスタッフに分析を依頼してCMに入った。


警察が周囲をブルーシートで覆い検証している。SNSの投稿によれば血や肉片が飛び散っていたという。

夕方の報道番組で分析結果が判明した。「早く逃げろ」と避難を促している。ただ不思議なことに勧告は通行人でなく建物に向けられていた。

これは自爆テロなのだろうか。それなら無差別でなくなぜ特定の建物を狙ったのか。攻撃が目的ならどうして避難を呼びかけたのか。

容疑者の身元が遺留品から判明した。物流倉庫管理会社の経営者で倒壊した物件の持ち主だ。

ただ犯行声明や自爆をほのめかす言動は押収した証拠から見つからなかった。従業員の話ではいつもと様子が変わらなかったという。


爆発炎上したX物流センターは通販大手の下請けでピッキング業務を行うかたわら自社製品を販売している。テイクアウト需要の増加で加工食品の取り扱いが急増した。時間とフードロスを省くために飲食店から賞味期限切れないしぎりぎりの食材をあずかりセンターの一角に設けた専用キッチンで調理している。それを「もったいないフード」というブランドで格安に販売している。消費者からは訳あり商品を割り切っている。モノは一部上場企業だけに品質は悪くない。

それらを食材にしたもったいないフードはサンドイッチから黒毛和牛のサイコロステーキまで多彩なメニューで食卓を飾った。


では、なぜX物流センターのオーナーは自爆したのだろう。


驚きの真実が隠されていた。




隠れていた…。


ザザ…隠している…。


驚くほどでもない…ガガガ…ピーッ!



(調整中)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る