18 神馬
ミーヤが一番に、次にフェイ、トーヤが続けて立ち上がる。ルギは最初から立ったままでそばにいた。
「神殿からのお使い、なんでしょう……」
「神殿ってのはシャンタル宮の中にあるけどちょっと宮とは役割が違うんだ」
トーヤが説明する。
「シャンタル宮ってのはでっかいでっかい宮殿でな、その中に神殿ってのもある。宮はいわばシャンタルやマユリアが生活する場所だ。まあ色々仕事する場所もあるけどな。謁見の間ってのもその一つだ。そんで神殿ってのはカースの海神神殿もそうだが、そこでシャンタルをお
「へえ、ややこしいな」
「前の宮の一部ってか、くっついてるってか、なんかそんな所にある。生き神が何しようとそこはそこで神様を祀ってるわけだが、どうしても目の前に生きてござる神様には負けてるように見えたな。民はみんな生きたシャンタルを見たがるもんだ」
「そりゃそうだな、ご
「そういうわけだ。まあその神殿もマユリアの
「トーヤに会いに来たヤギみたいなおっさんもその神官なんだな」
「そうだ」
「そうか、それで王様の近くの人代表の大臣と、神殿代表のヤギ、そんで宮代表のキリエのおばはんが最初に来たんだな?」
「そういうこった」
その神殿からのお使いが一頭の馬を連れてやってきた。
「マユリアから
ダルが今まで見た中で一番大きな口をあんぐりと開けた。
使者が言うことには、
「今日の朝、突然マユリアが神殿の
とのことだった。
使者はそれだけを言うと馬を置いて帰ってしまい、残された者たちはとまどうばかりであった。
「なんかそれって……」
「な、気色悪いタイミングだろ?」
「うん」
アランが言いたいことをトーヤが
「ダルが俺を洞窟に案内し、そして俺が出ていかないと決めたこのタイミングで馬だ。ダルが宮と何回も往復するようになると言わんばかりにな」
「ぞっとしねえな……」
「ああ。まあもう慣れたけどな」
なんにしてもマユリアの
かくして立派な馬がダルのものとなった。
シャンタル神殿で
漁から戻ったダルの父親も兄たちも、他の漁師たちも驚きながら大層な名誉なことだと誰もがみんな喜んだが、ただ1人ダルだけは、トーヤの本心を知るだけになんとも複雑な顔をしていた。
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