第170話 アナタの寝言が好きなので(薔薇。菓子職人×元塾講師)


「……──」

「トーリーさん……ダメだ、寝てる」

 トーリーさんは、よくソファーで寝落ちする。

 軽くゆすっても起きないときは、もう諦めてブランケットをかける。

 小柄な僕じゃ、背の高いトーリーさんは運べないから。

 それに。

「……ん、そうたさん……」

 僕の名前を呼んで、へらりと笑う。

 そんな倖せそうな寝顔を見せられて(しかもそれが、自分の出てる夢とわかる寝言付きで!)起こせるはずもない。

 しばらくは、倖せな夢の中に居てもらうことにする。

「起きたら、現実の僕にもかまって下さいね」

 なんて。

 起きているときには絶対言えないけど。

 こっそり頬に口付けを落として、僕もフフッと微笑んだ。


 END.


 こちら(https://kakuyomu.jp/works/16816452220371917465/episodes/16816927861077060400)の二人です。

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