第43話 どうしてそうなった(薔薇。モテたい男子のお話)


 とある高校の放課後。教室。四人の男子が、だらりだらりとだべっている。


「女の子にモテたい!!」

 突如、一人の少年が叫んだ。

「また杵築きづきの発作が始まったなぁ」

 山田が、のんびりと言った。

「何か、発作の間隔狭くなってきてない?」

 木山が、ポッキーを食べながら問う。

「前は、一週間に一度だったのにな」

 正木も、ポッキーを手に取ってうなずいた。

「今は三日に一度くらい?」

「お前ら!! ちょっとは俺の話聞こうってなれよ!」

「言うてもなぁ」

 木山が、新しいプリッツの箱を開けて言う。

「モテたい!! だけで、発展性ないじゃん」

 そのあとを、山田が引き受けた。

「そうそう」

 正木が、うんうんと首を縦に振る。

「モテるために何をすればいいかくらい、アドバイスくれよ!!」

 杵築が、心の底から叫んだ。

「しただろ。テストでどれか一つ学年一位になれとか」

 山田が冷静に言う。

「保健で一位取ったぞ!?」

「……妊娠・避妊・出産についてで百点取ってもなぁ」

 木山は、ため息を吐いた。

「なんだかなぁだよなぁ」

「何でだよ!? 将来、めっちゃいい旦那になるってならないか? 何をしたらいいか悪いかもぜんぶチェック済みよ!?」

「生々しいんだよな……」

「あと、体育で力入れるとか……」

 正木が言った。

「マラソン、クラスで五位だったけど誰も褒めてくれなかったよ!?」

「そりゃ、女子もマラソンでへとへとだからなぁ」

 木山が言って、

「正直、誰が一位だろうが二位だろうが知ったこっちゃねぇってなるよな」

 山田も肯定した。

「調理実習とか……」

「俺の班にはも○みち(あだ名)がいたんだよぉぉぉ」

「いっそそいつに料理教えてもらえよ……」

「ハッ! そっか、その手が!」

「え、マジ?」

「じゃ、俺ちょっともこ○ちに弟子入りしてくるわ!!」

「アイツのフットワークの軽さマジ羨ましいわ……」


 ……後日、杵築に、そのもこみ○(本名:仁木誠一)と付き合うことになったと言われ、彼らは恋愛の深淵を見た。


 END.

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る