第34話 夢が叶ったあとのこと(百合。一つ前の二人の十年後)


「はー。お酒呑めたらなぁ」

「アンタ、下戸だもんね。めっちゃ呑めそうな顔してんのに」

「そうだよぉ。好きなものだって、たこわさにするめいかに、塩辛に、えだまめに」

「酒好きのラインナップよね」

「そうだよぉ。あー。アンタと一緒に呑みたかったなぁ」

「呑んでるじゃん。ノンアルだけど」

「だぁって、せっかく綺麗なおべべ着たアンタを侍らしてるのに、肝心の私が素面じゃ、なんか意味無くなくない?」

「……。もしかして、十年前の話してる?」

「そ。あ、やっぱりアンタも覚えてたんだ。わかっちゃいたけど、改めてうーれしーなー」

「覚えてるって思ってなかったわ……」

「マ? でも、いつも外呑みのときはもちろん、家呑みでも可愛いルームウェア着てくれてんじゃん? だから、憶えてるのかなーって!」

「……そういう、アンタこそ」

「えへへ。美女にはなれなかったけど、でもその分恰好で美人度を上げようと思いましてね」

「アンタは、美女だけど」

「え」

「……」

「……」

「少なくとも、私にとっては」

「~~~~。もー! そういう! とこ!」

「何、照れた?」

「照れた! 好き!!」

「ハッハッハッ。もっと言っていいぞい?」

「何か、侍らす方と逆転してない?」

「たまにはいいでしょ」

「まあね」

「じゃ、美女二人に」

「乾杯☆」

 彼女たちの宴は、まだまだ続いていく。


 END.

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