ユメみるファイヤフライ ーSpirit of Fireflyー

えうのイダ

プロローグ

俺は今戦慄してる。


対峙する1人の女子学生に。


こんな感覚は、の時以来だ。


人として、生物として、この女からは何も感じとれない。


気配がない。


目の前にいるのに、そこに存在するのかさえ疑わしい。


武芸者が極める「無我の境地」か?


いや、そんなレベルじゃない。


この女は「虚無」だ、次元を超えた観測出来ない存在。


SFじみたそんな感じだ。


「オガミケイ」


「おう」


「私に関わるな」


「は?」


俺を見据える女の両目、その瞳孔奥深くが深紅に光りだす。


「お前……、一体なんなんだよ」


「私は『クロエホタル』、貴方と同じ、ただの学生だ」

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