第2話 吾子の残照

「吾子の残照」


初夏の風は

木々の歌を奏で

五月の陽光が生き生きと

すべての命に降り注ぐとき


吾子は

たった独りで

父だけに見送られ

棺もなく

葬列もなく

ただ

母の慟哭と絶望だけに

見送られ


ごくあっさりと

天に召されていった


吾子よ

わが見ぬ子よ

枯れ葉のように

かさかさと

微笑むのか


父と母には

今でも

吾子の残照が

眩しいのです


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