暮れ色

詩川貴彦

第1話 暮れ色

「暮れ色」


いろいろなことがあり過ぎて

辛いことばかりを思い出した

いろいろなものを失い過ぎて

悲しいことばかりを考えた

そうして僕は

運命に逆らえないことを

思い知らされた


暮れ色

悲しい終焉の色

とりとめのない境界の色

変わりゆく時の色

それから

疲れ果てた心の色


金色の空と暗黒の雲

始まりと終わりの時空

希望と絶望の饗宴

過去と未来の交錯


夕凪の静寂を

鮮やかな朱色に染めて

燃え尽きていく

最後の光球


あの日

確かに僕はそこにいたはずだ

小さな部屋と家族という温もり

いつまでも続くと思っていた


もう戻れない

あの日見た暮れ色

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る