墓参
水汲み場に蚊柱
蟻の列を跨いで
先祖代々の墓前
根を断たれた花
おしべから花粉
黒い袖にべたり
許してください
私がこのくにの
助けにならぬを
子の無いことを
風が走り抜ける
線香の灰が散る
すれ違うよその
法事の家族らの
子らはしゃぐ声
笑い声 泣き声
なだめる大人の
呆れたような声
墓場を走るのは
いけませんよと
祖霊が囁くのが
聞こえるようで
ただ俯きながら
靴を前に進める
夕日は真横から
私の顔を焼く
振り向けば
気付かぬ
ように
黙る
寺
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます