ブーメラン


…などと、いい気になっていたら。

占いマシーン人生終了、いきなり来ました。


ある日、宇宙服よろしく完全装備に身を固めた集団がやってきた。

そして、私の前に大きな鉄柵を置いた。同時に拡声器で避難を呼びかける。

行列を作っていた人々は蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

「えええ~っ、そんなの聞いてないです」

「真実の口に占ってもらおうと札幌から来たのにい!」

「冗談じゃないよ。これから大事な商談があるんだ。占ってもらわないと!」

不平不満を並べ立てる人々に白装束の男は言った。

「さきほど知らせが入りました。お客様から陽性反応が出たそうです」

「げえっ!」

さすがのクレーマーたちもタンクを背負った作業員に追い立てられる。

消毒液の散布が始まった。

おお、なんという事だ。私の口にも容赦なくノズルが突っ込まれる。

「念入りにやれよ。ウイルスは手から感染するからな!」

「「はいっ」」

彼らはてきぱきと手順をこなし、最後に私をプレートで封印した。

”感染予防対策のため、当面のあいだ真実の口は営業休止します”


ちょっと、待て。

おい、こら。当面のあいだって何時までだよ!


私は途方に暮れた。だって、真実の口には腕がない。

自分で自分を占う事ができないのだ。

占いの腕は自信があるのに、手も足も出ないってどういうコントだ。


口ほどでもないって、文字通りこの事だ。

私は心の中でさけんだ。

「明日はどっちだーーーーー!?」



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