希望をみつける出版社
星降る倍角出版社は持ち歌のタイトルをもじった、と社長兼編集長がいう。
「そういえば活…」
いじわるなMCが観衆にマイクを向けると「うわぁ」とか「黒歴史だ」と阿鼻叫喚があがる。ツヅリはクスクス笑いで総括した。
バーソロミューは希望を見つける投稿サイトだ。ツヅリは新機軸を打ち出した。読者も作者もコミュニティもサイトにとってはかけがえのない家族だ。だが運営が主導して会員が従う旧来のシステムには限界がある。そこでツヅリは工夫した。家族はみんなに上下関係があり、水平な絆がある。バーソロミューが会員の家であるようツヅリは各ジャンルごとにリードライターという職を置いた。彼ら自身も作家であり、自分のホームで発表した作品にポイントは貰えないがその時々に応じてジャンルの雰囲気を作り出す。旬な特集を組んだり公募を企画したり時には自分の作品でジャンルの傾向をリードしたりきめ細かなサポートをする。
「お姉さんは小説を書かないんですか?」
MCに聞かれて妹が代弁した。「えっと…家では書いてないみたいです。今はシステム構築に自己表現を見出しているようですね」
どっと笑いが起きる。
「妹さんがあんなこと言ってますがぁ?」と、MCがマイクを振る。
「あとで星を降らせます。めっ!」
ツヅリが妹をにらみつけた。ただ、その目じりは笑っていた。
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