第二十二話 山の端いと近うなりたるに
結局今年の俺のクラスの出し物はお化け屋敷になった。なぜそうなったかというと、クラスの陽キャ達が最近ブームらしい、廃墟探索系配信者の動画に影響された結果、というわけである。
実際にあるらしい、某Y市の廃ビルを再現した中々に作り込んだセットを制作予定らしい。悔しいけど俺も廃墟とかは興味はあるので、ちょっと楽しみになってしまっている。
そういや八重桜こはるは怖いのとか得意なんだろうか?
得意そうだな。
「くっそ、悔しいな、手伝いとかはあんま嫌やけど、企画自体は確かに惹かれるものはある」
普通のお化け屋敷とかならあんまそそられないが、廃墟をモチーフにするってのがいいな。
「ねー、廃墟とかちょっとテンション上がるよねー」
「!?」
色々と考え事をしながら廊下を歩いていたら、突然声をかけられてめちゃくちゃビビってしまった。
恐る恐る後ろを振り向くと、そこには篠崎まおの友達の人がいた。なんか城祭りの前の時以来に話した気がする。あの時は、なんかいつの間にか目の前からいなくなってて恥ずかしい思いをしたわけだが。
そんな篠崎まおの友達の人はふと何かに気づいたような顔をしてこちらを見てきた。
「ってかさ、もしかしてなんだけどさ」
「は、はい」
「ウチの名前分かんない?」
「…ッ!」
突然の問い…!いまだに名前覚えてないのがバレてしまう…!やっべ。どうしよう。どう乗り切ったらいいんだ…!?
「いや、分かりますよ、柳岡さん」
「いや、それ雪穴さんの間取りの人だし」
「あ、すいません」
普通に墓穴を掘った。
「ウチの名前、百谷(ももたに)。百谷みりあ」
「あ、はい百谷さん」
「よし、もうこれで覚えたっしょ」
というと百谷さんは続ける。
「いやさ、私DIYとか好きなんだけどさ、それで廃墟のセットを作りを頼まれちゃってさー、材料とか色々と買いに行きたくてー、荷物持ちとして一緒に来てくんない?今週の土日どっちかさ」
「今週の土日、ですか?んー、別にどっちも大丈夫ですけど」
「っしゃ、んな人手確保かんりょー。あ、当日はあと水蓮寺(すいれんじ)とまおが来るから、4人ね」
「お、おん??」
まさかの土日のお誘いだったし、篠崎まおも来るって言った??え?聞き間違いじゃないよね??
それと水蓮寺…?って誰だっけ。ん…?あ!クラス一のイケメンくんの名前だったはず、赤坂より人気がある男子カーストトップの奴。
…マジか、やめとこう。流石に篠崎まおがきても釣り合いが取れんわ、水蓮寺なんて話したこともねぇし。個人的にめちゃくちゃ苦手なんだよな。
ってかなんでそのメンツなんや?なんでそこで俺に白羽の矢が立つんだよ…。絶対行かないからね。俺は。
「あ、あのやっぱりやめ」
「ってか、雪穴さんの動画見るんだねー?」
「ま、まぁはい」
「ウチも見んだよねー、変な公園の動画面白かった!つい小説も買ったんよね」
「え、あ、マジですか?、自分もあれ買ってて、ついこの前読み終わったんですよね」
「アハ、まじ??めっちゃ面白かったよねー!遊び方が全くわからない遊具の謎とか」
その流れで思わず白熱してしまい。
「じゃねー」
「お、おん」
結局断ることが出来ないまま、百谷さんは走り去ってしまった。やっべぇ、行かなきゃいけなくなったじゃんかよ。
いや、まてよ、前日らへんで体調崩した連絡すれば、行かなくていいのでは。でもなぁ…、意外と百谷さん話合いそうだったし、なんかドタキャンするのもめちゃくちゃ良心が痛むしなぁ…。
「仕方ねぇ…行くか…」
諦めも肝心だな。しっかし、水蓮寺…。ちょっと何かしら対策していかんと俺の心がお亡くなりになってしまう。外出た瞬間に風強すぎて進めなくなってしまいそう。
どう言う心構えで当日を乗り切ろうか、それを考えながら歩いているともう校門が目の前に。
久しぶりに大判焼きでも買って帰ろ。
━━━━━━━━━━
あまりカクヨムの仕様が分からないまま、上げているので、反応出来てないのですが、メッセージ等は読んでます…!いつもご覧頂きありがとうございます。
ここから文化祭編…?です。色々と登場人物が出てきていますが、これからも可愛いこはるちゃんをお見せ出来るように力を少しずつ入れていきたいと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます