進化ウイルス

「極超指向性電磁パルスぅ? そんなもの、どうやって衛星に仕込んだんだ?」

「プリントデータがそっくりそのまま入れ替わってたようです」

「つまり、どういうことだってばよ?」

「電子的な托卵ですよ。どっかの馬鹿が電磁パルス兵器をプリントアウトさせたんです」

「んなこと、できっかよ。JAXAの職員が目視で最終点検してるんだぞ」

「もし、その担当者の判断能力が健康でなかったとしたら?」

「仮定に仮定を積み重ねるやつがあるか。莫迦莫迦しい」


船上でリーダーたちが責任を擦り付けあっている。

「それより、被爆者の容体はどうなんだ?」

リーダーの一人が話題を変えた。

「命に別状はない、というか、健康そのものだそうです」

「そうか。何もなければいいが」


報告を受けた記者は、その場でニュース原稿を書き始めた。




その頃、病院では船からドクターヘリで搬送された患者が激しい嘔吐や喀血を繰り返していた。

「どっから感染したんだ?! 感染経路をただちに塞げーっ」

完全防備した職員が院内の消毒や患者の隔離にてんてこ舞いしている。

そうしているうちに、彼らが一人、二人と倒れていく。

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