As You Like
どれだけ技術が発展しても、性風俗産業というのは廃れない。人間は性欲から自由になれないようだ。
もちろん、今ではセクサロイドが一般的だ。機能は充実、顔から
妾の目的は三つある。一つはこのカラダを女として使い物になるようにすること、一つは金を稼ぐこと。そしてもう一つは、妾の
一つめと二つめの目的はすぐに達せられた。センセイはああ言ったが、見知らぬ男に抱かれるなど、別にどうということもない。
三つめは中々アタリに
少しばかり、変わった男だった。大枚を叩いて妾を買っておきながら、その男はセックスをしようとしなかった。ただ妾を着飾らせて、
「今ドキこんな仕事をしているなんて、欲しいのはキット金だけではないのだろう、何が望みだ」と、男は妾の左足の爪に真赤な刷毛を滑らせながら言った。
「過去に行きたいの」妾は答えた。「コッソリとね」
「誰かを殺すのか」
「いいえ、誰かを生まれさせるのよ」
男は黙って、ただ手を動かしていた。
そして、二十本の爪をすべて真赤に染め上げると、男は顔を上げて「手配してやる」と、こともなげに言った。
それが余りにも呆気なかったものだから、妾は思わずこう口にしていた。
「アナタにはどんなメリットがあるの?」
「金とチカラで他人の人生に介入するのが俺の趣味なのさ」
そんなふうに抜かしたものだから、少しどころか、余ッ程変わった男だったらしい。
兎にも角にも、こうしてすべての手筈は整った。
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