見つかった失くし物

 1時間後、探偵部の部室。


 春樹や友雪がそれぞれ考察を話していると、不意に誰かが部室のドアを叩き入ってくる。


「失礼しま~す」

「来たか」


 どうやら撫子一人だけはその人物が来る事が分かっていたようである。


「近藤? どうしたんだ、何かあったのか?」


 しかし他の三人は訳が分からず、意外な人物の来訪に疑問を浮かべ代表して友雪が問いかける。


「いや、そこの先輩が来いって」


 その近藤の答えに、春樹は横の撫子に目線を送る。


「そうなんですか? 先輩」

「ああ、渡すものがあってな」

「渡すもの?」


 撫子は近藤に歩み寄り、何かを差し出す。


「ほれ、お前の探し物はこれだろ?」


 その差し出されたものはクロッキー帳。


 それを見た近藤は思わず大きな声を上げる。


「え? そうです、これです! よかった~! でもどこにあったんですか?」

「別に、拾っただけだ」

「うそ!? どこ探しても見つからなかったのに!」

「嘘じゃないさ、それよりもう失くすなよ、今なら教室に三好しかいないからしまってこい」

「・・・っ! はい! ありがとうございました!」


 何か思うところがあったのか、急いで部室を飛び出す近藤。その後ろ姿を呆気にとられながら見送った春樹と友雪、乙葉からは次々に驚きの声が飛び出す。


「先輩! どういうことですか!?」

「いつ見つけたんですか!?」

「すご~い! でも他の落し物は?」

「ああもう! 分かった、話してやるから落ち着け! お前らと別れた後にな?」


 撫子は1時間前にあったことを語り出す。

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