銀髪とモヒカンと僕

団子おもち

予告編 

※この作品はフィクションです。登場人物、団体、場所、および不良達はすべて架空の存在です。



「うるせぇ!うるせぇ!!」

 平穏なはずのショッピングモールに、その狂ったような大声が響いた

 茶髪でピアスをした不良少年がナイフを振り回す。完全に自分を見失っている。

 僕はもう直視できなかった。

 だが、銀髪の少年は全く怯えていなかった。それどころか、ナイフが見えていないのかと思うぐらいに、彼は無表情でどこか穏やかだった。

 そんな彼の落ち着いた様子が、返って不良を刺激していた。

 ナイフを強く握りしめた不良は、

「ぶ、ぶっ殺してやる!!」

 そのまま、少年に向かって走り出した。

 しかし、少年は動かない。

「や、やめろぉおおーーー!!!!」

「きゃああああーー!!!!」

 僕と彼女は叫んだ。

 鋭いナイフが少年に迫る。

 そして……。真っ赤な鮮血が飛び散った。




 あれから、数分後……。

 夕陽に染まった国道沿いのコンビニの前。

 偶然、僕と彼女は、あの銀髪の少年と出会った。

 彼の右手には、真っ赤に染まった布が巻かれている。その布から血が滲み、ポタ……ポタ……と地面に落ちている。

 そして、彼の左手には……。

 一体、何者なんだ、この少年は……。

 冷たい風が吹いた。僕は思わず震えた。

 少年はその銀色の髪を風になびかせて、口を開いた。


 僕は思った。

 この少年は、狂ってる……。

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