第35話 一日目の夜2

 晩御飯をたらふく食べて3人は満足げ。しかしやたらと湊音は出来るだけ李仁の横にピッタリくっついている気もしないが……。


 片付けも終わりソファーでテレビを見ながらくつろぐ。タバコに火をつけそうになったシバに李仁は

「室内はダメよ」

「そうだった。ベランダ行く」

「ベランダもダメ。禁止になったから」

「まじかよー、また下まで吸いに行くの?」

 めんどくさくなったのかシバはだらんとソファーに腰掛ける。


「さっき車出した時にタバコ吸ってたんだ」

 湊音がそういうと、シバと李仁はドキッとした。

「ほら図星。それに李仁も吸ったんでしょ」

 李仁に詰め寄る湊音。タジタジである。シャツは変えたのだがまだ匂いが残ってたのかと少し自分の体の匂いを嗅ぐ李仁。


「よくわかったわね……ごめん」

 湊音は少し膨れた顔をする。

「シバのタバコの匂いと、香水の匂いがした」

 そういうとさらに李仁とシバは焦る。


「……何度も嗅いだ匂いだからわかるんだもん」

「そう……シバ香水強いから一緒にいるだけでもね……」

「ふぅん」

 李仁は取り繕いながらも湊音にボディタッチをして誤魔化している。足の裏、足の指、脚、太もも……次第にいちゃつきに変わっていく。


「ほんとお前ら仲良いな。別にいいぞ、そこでやってもいいんだぞ」

「……」

 シバの茶化しに湊音は顔を赤らめる。二人は深い関係にあったのに目の前で他の男に抱かれることをするのかと思ったのか湊音は困惑している。


「まぁ風呂入ってもう寝る。疲れた」

 と、シバはソファーから立った。スマホを取り出してメールを確認するがいい顔をしない。

「まだ次の宿見つからんでさぁ、一日目から揉め事起きて嫌な雰囲気にしたくねぇからなー」

 と、笑いながら浴室に向かっていった。


「なによ、李仁に手を出しくせに」

「……」

「わかるんだから、服にシバの香水がつくぐらいそばにいたってこと。慌てて時間稼ぎで近くの酒屋でお酒とか買って誤魔化したんでしょ」

「……御名答、ごめんなさい。でもキスしかしてないから」

 李仁はすぐ堪忍して謝罪した。湊音は李仁に唇を突き出した。

 やれやれと李仁はキスをして二人は抱き合う。夕方まで李仁が嫉妬して抱きしめ絡み合ってたのに今度は湊音が嫉妬している。


「寝室でしましょうよ」

「……」

「んふっ……ミナく……」

 李仁の声を塞ぐように湊音は舌を絡ませる。ぐるん、と大きく舌を口内で回して舌を引き離す。


「晩御飯のシチューでもうシバの味は消えている……」

「当たり前よ」

「その舌でシバの舌を……」

 湊音は鼻息が荒くなっている。

「もぉ、だーめ。シバが見てるから」

 二人の目線はあっという間にシャワー浴びてきたシバの方へ。李仁は湊音から離れる。


「もっとゆっくり入ってきなさいよ」

「ええやろ、男は上から水かぶってボディーソープ全身丸洗い、それでシャワー浴びる、それでオッケー」

「ありえない」

「そんなありえないことをしてる男にお前らは抱かれたんだぞ? ハハッ」

 笑えない状況だがシバは笑ってリビングを仕切ってできた側室の個室に入っていった、と思ったら顔をのぞかせた。


「ココ鍵ついてないようだな、おやすみ」

 そのシバの言葉は何か含んだかのような言い方である。


「ミナくん、お風呂入りましょ」

「……うん。僕は隅々まで洗ってあげる」

「もぉ」

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