第二学年担任O先生のキオク

 一週間ぐらいが経っただろうか。私は都内某所の喫茶店で話を聞いていた。相手はYが2年生の頃担任をしていたO先生だ。O先生は初めて担任を持ったのがこのYの居るクラスだったという。


 Y君ですか。初めて担任した時彼が居て、私の信念を貫いて指導していました。しかし彼は全くいう事を聞いてくれなかったのです。力尽くでやろうとしましたが力で返され殴る蹴るの騒ぎです。授業中にどこかへ居なくなるし居たと思ったら寝てますし。毎月第一月曜日に開催される朝会にも出る日があったり出ない日があったりしました。その度に無理やり連れて行っていましたがどうしてもダメな時はカウンセラーの先生に預ける時もありました。


 彼が卒業してからある時あの時の私が間違っていた事に気がついたんです。私が支援学級配属になったときにそれに気がつきました。私は彼の気持ちを全く聞かなかったのです。なぜ授業から居なくなるのか、なぜ朝会に出ないのか。何も聞かずに無理やり連れ出そうとしていたのが間違いだと思いました。


 彼にはアンタなんて大っ嫌いと言われたまま卒業されてしまいましたが当たり前だなと今なら思います。先きほども言いましたが彼の気持ちを理解する事なく力で押そうとしていましたから。当たり前です。理解しようとする気も見せることができなかった、いやその時は理解する気がなかったのですから。


 今ではそれぞれの子供たちが難色を示したときはなぜ?というのを聞くようにしています。彼の担任をして得た教訓です。なぜならそれをしないと同じ過ちを2回繰り返す事になってしまいますから。いつか彼に会えたらありがとうとごめんなさいをしたいです。もし会えたら、ですが。


 あと彼はまわりの子に比べ遥かによく食べていました、そしてテストは100点ばかり取っていました。漢字を除いて、ですが。マイナスの事を個人的に聞かれた時は驚きましたけど。


 記録係はこの話を黙って聞いていた。どうやら彼が不思議な事になったのはこの辺りからなのだろうと。そして授業をろくに受けないがテストはなぜかできていること、大食いな事は1年生の頃から変わらなかったと。


 1年たちどうなったのかを知りたくて3年生の時の担任の方に話を聞こうと思いコンタクトを取った。

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