第2話運命は悲しく切なく
あれから十数年がたったある日。私は就職が決まり静岡県にあるとあるホテルのホテルマンになった。もちろん、雫恩も一緒だ。晴れて社会人になった私は、静岡で1人ぐらししている訳だが毎日家に帰ると雫恩が『おかえり』と待ってくれたり、たまに職場にくると私が気づいてないところに気づいてくれてそっと教えてくれる。正直めちゃくちゃ助かる。
社会人になって2ヶ月がたち、私は明日から3連休をもらった。すると、その夜、ホテルマンの同期から連絡がきた。なんでも今から近くにある廃墟のホテルに先輩達と肝試しをしに行こと誘われた。私は、一度断ったのだが《ピンポーン》とベルが鳴り出てみるとそこには肝試しに行く先輩と同期の子がいた。思わず私は
『はい。行きます』と言ってしまった。
車に乗ると他のメンバーもいて男4人と女4人の8人でその肝試しを行くことになった。
車を走らせて10分ぐらいにお目当ての廃墟のホテルについた。すると男のかずき先輩の先輩がホテルの説明をしだした。
『えー、ここはバブルの時には建てられたホテルですがバブルが弾けたあと、当時、不倫して宿泊していた男の前に当時のお嫁さんが現れ男の目の前で自分の心臓に包丁を突き刺して自殺をしたらしい。それからと言うものここのホテルは男女でくると必ず自殺した女の人が現れるらしい』
すると女の子4人が『きゃー怖い』『かずき先輩やめてください〜』『かずきまじで怖いってー』と、言い出した。私は
歩いて帰ろうにもホテルは山奥で夜に歩くとイノシシなどがでて危ないと言われていて、この時期イノシシに襲われる事件が多発しているみたいだ。そんなところに置き去りにされて思わず『嘘だろ〜!!』と叫んでしまった。すると、雫恩が横で爆笑していた。
するとホテルからいきなり『何しに来た!また、私を馬鹿にしにきたやつらだな!早く帰れ!呪い殺すぞ』そう叫んでいた。私はなぜかその声が、言葉が悲しく聞こえ昔のあの神社での神主さんの言葉を思い出した。私は無視することができなくなってもう一度、廃墟のホテルの中に戻っていき、幽霊を探した。すると6階にある不気味な部屋がありそこに入るとショートカットの女性が半分怨霊になって窓の前にいた。
『さっきの声はあなたですか?』と私が尋ねると『なぜここに来た呪い殺されたいのか!』と少し怒った声で話した。すると雫恩が『明王生ちゃんはあなたを助けに来たのよ』と言い返した。すると、『うるさい!お前もあの女のように私を消しに来たんだろ!私はまだ消える訳には行かないのだ!』幽霊は言うと私はあの女と言う言葉に引っ掛かり幽霊に『あの女って誰?』と尋ねると『嘘を付くな!お前たちみたいな幽霊を見えるやつは祓い屋だろ!私は信じないぞ!』と言った。しかし、私はポカンと言う顔で彼女の顔をみて『え、私は近くのホテルのホテルマンです。ほらこれが証拠』と言って携帯ケースに入れていた社員書を見せた。すると幽霊もポカンと言う顔で『あれ、ほんとだ、ただのホテルマンだ。じゃぁなんでこんな所に来たの』と尋ねてきた。私は『ここに肝試しをしにきました。あなたは昔不倫をしていた夫の前でこのホテルで自殺した幽霊ですか?』と言うと。幽霊が『それ私じゃない。』どうやらお互い勘違いしていたらしい話を聞くとなんでも近くにある湖で昔旦那に殺されて沈められたらしい。せめて死体を見つけてもらいたくて湖に幽霊としていたら色々な穢(けがれ)に当てられ怨霊になりかけていたところに先程の祓い屋を名乗る女性が現れた祓おうとしたのでここに逃げてきたらしい。しかし逃げてる最中に大量の穢に当たって怨霊にならないように耐えていたら動けなくなったらしい。『でも、もうあなたも限界でしょ。そう永くは持たない。その時はどうしたの?』と雫恩が聞くと『その時は怨霊になり素直に祓われようと思ってました。でも、やっぱり死体だけは見つけてほしい!お願い明王生くん!どうか、私の体だけは見つけてお父さんとお母さんのところに連れて行ってほしい!』
すると、入り口から『私もそのつもりだよ。だから、安心して成仏しなさい。』振り向くとすぐにわかった。『この人が幽霊が言っていた祓い屋』私はすぐに雫恩の前にたった。
『やはり、お主か恵み。久しいな。』と雫恩がため息を付きながら答えた。
『ハハハハ。やっぱり雫恩じゃん。なんか久々に懐かしい気配を感じると思ったんだよな〜』と恵みさんとが笑いながら答えた。
私は、『嘘、知ってる人だったの!?』と、つい大きい声で言ってしまった。
恵みさんに色々話を聞くと死体を聞く前に祓い屋と名乗ったら幽霊が勘違いして逃げていったらしい。なんともま〜人騒がせなやつだ。
『まぁ〜だから明日から私と明王生くんと一緒に体探してあげるから安心して成仏しなさい。わかった』恵さんがそう幽霊を説得すると泣きながら『わかりました。よろしくおねがいします』そう言ってそのまま成仏していった。
『ん?ちょっと待って今探すの俺も入ってなかった?おかしくない。そお言うのは専門家がやるんじゃないの!?』私がそお言うと恵さんは『これもきっと何かの縁。大人しく一緒に探すわよ。』と言って誰かに電話をしはじめた。私は、疲れてさっき成仏した幽霊の下で寝てしまった。
夢の中でさっきの幽霊の記憶が流れ込んできた。
リビングでテレビを見ている男性きっとこれが旦那さんだったのだろう。先程の幽霊が何かを持って旦那さんに近づいた。その手には、妊娠検査薬だった。よく見ると妊娠がわかって幽霊は喜んでいる中で旦那さんは目が全然笑ってなかった。すると旦那さんがキッチンに行き包丁を手に持ち幽霊のお腹めがけて突き刺そうとした。しかし、幽霊は必死にお腹の子を守ろうとして最後は『ごめんね。せっかく生まれようとしたのにごめんね。ごめんね。』と言って亡くなっていた。
そこで目が覚めた。
雫恩がまた膝枕をしてくれてた。隣を見ると恵さん悲しそうな顔で私に『悲しいよね。せっかく好きな人の子どもができたのに旦那が浮気相手と結婚したくて奥さんを刺し殺そうとして。それでも生まれてくる子供をかばって亡くなって。しかも旦那を恨む事なく息をひきとって。亡くなった後も、恨むことなく、ただ、自分の体が早く見つかることを願って数年間も待ち続けたなんてほんとに悲しい。』
『妾たちも一緒よ。持ち主が愛情を持って大切にした人形に魂が宿るといきなり呪いの人形だなんて恐れて神社やお寺に無理やり祓おうとする。そうやって悪霊や怨念や呪いが生まれるのに生んだ本人たちは私達は何も関係ないと現実を受け入れない。なのに被害者になると、どうして、なんで、話が違うなどと言葉を言って同情心をあおごうとする。一体人間は泣きがしたいのじゃ』そう言って雫恩が悲しい顔をした。私は雫恩の手を握ることしかできなかった。
《プルプルプル》いきなり恵さんの携帯がなった。
『さ〜、行くよ。』そう言われて外に出てみると警察官が大勢できていた。悪いことしてないのに一瞬悪いことしたと思ってしまった私がいた。
パトカーにのり幽霊のいた湖に向かっていきお昼ごろから捜索が開始された。もちろん、私も手伝って創作開始から5時間がたち日がそろそろ落ちてきたので今日は引き上げようと思った時に私の足に手のようなものが絡まり湖に引きずり込まれた。水中で目を開けると成仏したはず幽霊がいて『ありがと』と言って下を指さした。すると朝には人の手のようなものが絡まっていた。顔をあげると幽霊がいなくなっていた。すると警察官二人が私を引き上げ『大丈夫ですか!?』『意識はありますか!?』と心配そうに話かけていた。
私は話し掛けてくれていた言葉を返すより先に『遺体ありました引き上げおねがいします』と叫んだ。
すぐに遺体は引き上げられ身元調査をした。すると、5年前に行方不明になった28歳の女性であると事がわかった。行方不明の届けが旦那さんから出ていて当時の調査から旦那さんが奥さんが不倫相手の男と駆け落ちして奥さんはその男に騙され殺されたとなっていて、裁判で死刑判決がでていた。幸いにも執行はされていなかった。その夜、また、夢を見た。その夢はまた、幽霊の夢だった。今度は、学生時代の時の幼馴染みの男の子との何気ない話だった…
次の日、私は恵さんと一緒に死刑判決決まっていた男性のところに行きあなたは無実が認められましたと伝えに行った。
顔を見た瞬間昨日の夢の幼馴染みの男性の顔だとわかった。一様、恵さんが遺体が見つかりあなたの無実が証明されたと伝えると男性は自分の無実が証明された事より幽霊の遺体が見つかったことに喜びそして泣いていた。その涙は、後悔の涙なのかそれとも喜びの涙なのかは私にはわからなかった。
そして、真犯人の元旦那さんは当時の浮気相手と結婚をしていて子供も3人生まれていた。私は少し複雑な気持ちになった。真犯人の取り調べを聞くと刃物は自宅の下に埋めたそうで調べらとすぐに見つかった。
私は、恵さんに自宅まで送ってもう事になった。
『明王生くんは、自分が傷ついても今回みたいに誰かを守ることはできる?』
『僕はもし家族や友達、何より今一緒にいてくれる雫恩が大好きです。そのためなら全てのものを捨てる覚悟はとうの昔にできてます。それに、僕は、何かを犠牲にしてまで自分の幸せはほしいとは思いません。失わないように努力します。』
『じゃぁもし何かを犠牲にしないといけないとなったらどうす?』
『その時は自分自身を犠牲にします。』
『それでもだめだったら?』
『その時は、また、その時に考えます。』
『うん!決めた!明王生くん明日から私達と一緒に祓い屋をしなさい!』
『丁重にお断りします』
『ハハハハ!言うと思った!でもねこれを断ると雫恩を回収しないといけないの』
『え、だからさっき犠牲の話をしたんですか!?』
『うん』
『それは卑怯です。条件を出していいですか?』
『ええ、いいわよ』
『僕の家族には被害は守ってください。後、せめて今の会社は3年勤めさせてください』
『それだけ?他には。ないの?』
『はい!ないです。それを守ってくれるのであれば私は祓い屋として全力で取り組みます』
『わかったなら明日、9時に駅に来てくれ』
『わかりました。ありがとう』
と会話をしているうちに自宅についた。テレビをつけると今日出来事が早速ニュースになっていた。
テレビを見ているといきなり《ドンドンドン》とドアがなった。
開けるとそこには、亮太がいた。『良かった〜無事だったんだな〜』
私は目を細めて『何が無事だよ笑ほっていきやがって』すると亮太が『あのあと俺だけ迎えに行ったんだでもここからあの廃墟まであっぽん道なのにいくら走っても全然たどり着かなくて気がついたら朝になっててやっとついたと思ったら警察官がめちゃくちゃいてこれ以上入れませんのでお帰りくださいって言われてもしかしたら何か事件に巻き込まれたんじゃないかって心配したんだぞ!』とパニクった感じだ話していた。まー、一様事件に巻き込まれたけどなと内心思っていたが笑顔で俺は『すまん。でも、俺は大丈夫だだから今日はゆっくり休め。明日も仕事だろ』と言った。すると亮太は、落ち着いた様子で『あ~ありがとう。大丈夫だったら良かった。じゃぁ俺帰るわ。また、仕事でな』と言って帰っていった。
すると、雫恩が『明王生今のって無意識?』と聞いてきた。私は『何が』と返すと『なんでもない』と言って結局なんにも教えてくれなかった。
短い人生と共に… 十六夜 彗 @kei3n
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