第19話 窓

コツッ。


深夜に窓を叩く音が聞こえた。


カーテンを閉めているため外の様子がどうなっているのか分からない。


「どちらさんですか?」


誰かがいるなんてことはない。


なぜなら、ここは二階なので、窓の外に人が立てるはずがないからだ。


「ちょっと部屋に入れてくれませんか?」


返事があった。


だが、ここで窓際に立ち、カーテンを開けて声の主を部屋に入れようなどと考えてはいけない。


慌てるな。


「まず、あなたが誰なのかそういうところから言ってくれないと……。」


「いいから早く入れてくれませんか!」


コツッ!


コツッ!


コツッ!


さっきよりも音が強い。


声の主は、苛立っているようだ。


どうしようか迷っていると、突然「うわあああああ!」という叫び声が聞こえてきた。


それから数十分経った。


「大丈夫ですか?」


窓の外に向かって聞いてみたが、何も反応はなかった。


____


翌日、窓を開けて下を見下ろすと、ジーンズと白いシャツが地面に落ちていた。


「結局、誰だったんだろう?」

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