第7話 メモ

裏紙を使った手作りのメモは、資源を大事にしている。


なんて大層に先輩は言ってたけど、それってどうなのって私思うんだけど。


だってさあ、裏紙を集めて四等分に切って、その紙切れ集めてそろえて、糊付けして、ズレない様に乾くまで固定するって流れを見てよ!もうっ!


その流れそのものが人間の体力をムダにしてるし、糊だってもったいないじゃん。


なんでそういうところに気づかないんだか分かんない。


っつっても他にやることないからやるしかないんだけどね。


メニュー表、会議で使われた資料、広告、ファイルとかのし袋に入ってた形を整えるためだけの紙、あと、コピー用紙。


あ、コピー用紙は両面白色で、まだ使ってないやつだからメモにしちゃだめだね。


さて、これだけメモを作ったんだから、何か書きますか。


「あなたは何も書くことないでしょ」


メモにそう書かれていた。


私こんなの書いたっけ?


まあ、書くことないと言われちゃあしょうがないよね。


じゃあ別のことをやりますか。


――――


そして、私はメモにしたものをまた裏紙に戻し、たくさんのメモを作り続けていた。



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