バピカーン

枝林 志忠(えだばやし しただ)

第1話 雲

「雲の上に行けば会えるのでしょうか?」


私がちょうどその人に会ったのは空が曇っていたときでしたね。


今にも雨が降りそうでしたね。


最初は何を言ってるのかよく分からなかったんですよ。


私が返答に困っていると、また、その人は話しかけてきたんですね。


「雲の上に行けば会えるのでしょうか?」ってね。


多分、自分にとって大事な人がお亡くなりになったとか、何かしら気に病むことがあったんじゃないでしょうかね。


「会えるんじゃないですか?」って私言ったんですよ、そしたらね、ビックリしちゃいました。


その人「そうですか……。それじゃ行ってきます。」と言った後に、急に宙に浮かんでいって、霧のように消えちゃったんですよ。


え?何言ってるか分からない?


まあ、そんなもんですよね。


実は私も最近気に病むことがありましてね。


いえ、相談に乗って欲しいとかじゃないんですよ。聞きたいことがありましてね。


「雲の上に行けば会えるのでしょうか?」


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