第5話

退勤後、交差点の手前で、青から赤に変わる信号を見た時、昔よりも自分が凄くイヤな人間になってしまったのではないかという気がした。

傷付けられた感受性を捨て、鈍感力を手に入れた代償に、心の豊かさを失ったのだろうか。

嫉妬と欲望に支配された今の心の醜さに呆れ果てた過去の自分が、一筋の涙を流しながら手を振っている。

早く手を打たなければ、二度と帰ってこないという気さえする。

昔を思い出せ。

決して去らせはしない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

終わらない空 せせらぎ大學(旧 中洲ノ粤犬) @tasogarefeeling

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ