第13話 夜会へ行きます
学園に通う様になり、たまにアニエスに話しかけられるが上手く躱し、サロモンからの熱い視線と呼び出しにはほとほと呆れるが、無視する事により、なんとか学園生活を送れる様になった…
明日は王宮で夜会がある。
ラルフから贈られたドレスを着るのが楽しみで仕方がない…
「セレス、明日の夜会は誰と行くんだ!?」
サロモンに話しかけられる
「殿下には関係ありませんでしょうに…」
「私と行かないか? 迎えに行くから…」
「お断りいたします」
深々と礼をしてサロモンの前から去る
なんだというのだ! しつこい男だ…
これでは本当に嫌いになりそうだ…
決してサロモンの事を嫌いではなかったのだが、最近のサロモンは人として軽蔑するような行動が多く見られる
大人しく子爵令嬢をレディとして教育すれば済む話なのに…
子爵令嬢をエスコートする義務がある、なんせ真実の愛の相手だ…これ以上巻き込まないで欲しい
子爵令嬢にドレスの話をされ、デザイナーを紹介したから今回のドレスは前回のものよりだいぶマシになるだろう…
デザイナーにも話を通しておいた。
全身コーディネートを頼んである。
もしお金が足りない様ならこちらに請求をする様にも密かに頼んである。
初回限定サービスだ!
夜会当日、朝から侍女達に全身磨きをかけられ、ラルフから贈られたドレスを身に纏った…
「わぁ!」
侍女達から感嘆の声が上がる…
着たことのない色合いのドレス
自分で言うのもなんだけど、姿見に映る自身の姿を見て美しいと思った…
「まぁ! セレスちゃん、すっごく綺麗…ラルフ様のセンスが良いのね!」
母が完成の姿を見に来て褒めてくれた。
母のセンスはとても良くファッションリーダー的なものであり、母の意見を求める貴族達も多いと聞く。
その母が褒めるからにはラルフのセンスは良いのだろう…
「楽しんでらっしゃいね! 私たちも後で行くから」
「…はい」
返事をするとラルフが迎えに来たと言われた。母が先にラルフに挨拶に行ったので最終チェックをする。
ドキドキする気持ちを抑えながらエントランスに向かう
「お待たせしました…」
照れながらラルフの元へ行く
「セレスティーヌ、すごく似合っている! とても美しいよ」
目を細める様に笑いかけてくれ、手を取りキスをしてくれた
「ラルフお兄様もとても素敵です…」
同じサファイヤの様な生地の衣装にピンクゴールドのチーフを付けていた。
セレスティーヌの髪の色…
すごく嬉しくて破顔した
「その笑い顔は昔と変わっていないな、可愛いセレスティーヌ」
邸のメイドも母もほっこりとした雰囲気になっていた。身内にそんな姿を見られてとても恥ずかしい
「ラルフお兄様、早く行きましょう、恥ずかしいからっ」
ぐいぐいと腕を押すように外へ行こうとする
「夫人それではセレスをお借りします、帰りもちゃんと送り届けますので」
「えぇ、どうぞよろしくお願い致します」
そそくさと邸を出て行くセレスティーヌ
「レディが焦って邸を出るなんて」
くすくす笑われる
「だって…」
「セレス思っていた以上に似合っているよ…そのドレスの意味わかった?」
こくんと頷き
「…嬉しい」
一言告げる。恥ずかしいやら嬉しいやらで、外の景色を見て気分を落ち着かせる…
馬車から見る外の景色がいつもよりキラキラして見えるのは、雪がチラついてきたからだろうか…
外は寒いはずなのに、寒さも感じられないほどに暖かい何かがある…
向かいに座るラルフもどことなく嬉しそうなので、思わずにやけてしまう
「あっ! そうだ、ラルフお兄様と言う呼び方はやめてくれよ」
「王弟殿下?」
「…そこは、名前で呼んでくれ」
「ラルフ王弟殿下」
「ラルフだよ」
「………ラルフ様?」
「うん、それで良い」
お兄様がなくなるだけで、急に距離が縮まる様な、特別感が、芽生えた気がした
ドキドキと心臓が高鳴る…落ち着かない
会場に入ると、いろんな人の視線を感じるが隣にラルフが居てくれるので、全く気にならなかった…
前回の夜会で気分が悪くなり、ラルフに抱き抱えられ帰ったので噂にはなっているだろうと思っていたが、誰も口にしなかった…
夜会が始まり、もうすぐ新年を迎える。
新年を迎えるとラルフはアルナンディ公爵となり、その紹介もあった。
その時は流石に隣にいるのは憚れ、ラルフから離れた。
「あら!セレスティーヌさんごきげんよう」
アニエスに声をかけられた。
紹介したデザイナーはきちんと仕事をしていた様で、素敵なドレスを着ていた
「ごきげんよう、素敵なドレスに仕上がりましたね」
にこりと微笑むセレスティーヌ
「えぇ、セレスティーヌさんが紹介してくれたデザイナーは中々ね! また頼む事にするわ」
「それは宜しゅうございました」
きちんとレディに見える姿にホッとするセレスティーヌ
殿下の目に止まるくらいだ、アニエス自身の素材は良いのだ!
「……セレスティーヌさんが着ているドレスの方が良い生地を使っているのね! どちらで仕立てたの?」
まじまじと見る不躾な視線
「これは贈って頂いたもので…」
「さすが、セレスティーヌさん! もう男が出来たのぉ?」
大きな声で言うので周りに丸聞こえだ
「よして下さい…周りに迷惑ですよ…ここは王宮です」
周りにいる人の目が面白いものでも見るような目つきに変わる
なんだか嫌な予感がする
「なぁに? 自分のテリトリーだとでも言いたいの?」
カクテルグラスを持ちセレスティーヌの近くによるアニエス
「お酒を飲んでいらっしゃるのね? 飲み過ぎは宜しくないですよ、お水を飲んで…」
水が入ったグラスを取りアニエスに渡そうとすると
パシャっとセレスティーヌの胸元に持っていたカクテルグラスの中身を掛けるアニエス…
「……ラルフ様にプレゼントしていただいたのに」
周りがざわつきはじめる…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます