第10話 こんな日が来るなんて【サロモン】
セレスティーヌに会いたい
こんなに何日も会わない日々が続くのは初めてだった…
先日の夜会のセレスティーヌは美しかった…私と一緒にいる時より美しくなるとはどう言うことだ!
あんなに肌を見せるようなドレス…気品に満ち溢れていたな…
それに比べてアニエスの幼女が着るようなドレスに呆れてしまった…自分でデザインしたと言っていたか…
散々な夜会だった
両親や兄が遠目でアニエスを見たらしいが、会いたくないと口を揃えて言われてしまった
私も会わせられないと思った。
真実の愛の相手はアニエスではなかったようだ…
セレスティーヌに話をしたが取り合ってはくれないし、学園にも来ない、手紙の返事もない。こんな事は初めてだった
セレスティーヌが顔を青ざめて叔父上に抱かれる姿を見て、逆上してしまった。
私のセレスティーヌに手を触れないでください!
お前のセレスではない!口を慎め!!
叔父上の威圧するような物言いに怯んでしまった。
彼女の兄も呆れていた
確かにもう私との婚約は白紙になっている
セレスティーヌに会いたいな…
いつも優しい言葉をかけてくれたセレスティーヌ
一緒に勉強をして正解が分かったときの嬉しそうなセレスティーヌ
甘いお菓子を食べて悶絶したセレスティーヌ
なんだ?!セレスティーヌの笑った顔を見ているじゃないか!なぜだ?なんでこうなったんだ!!焦り出すサロモン……
セレスティーヌの事を考えると笑い顔しか思い出せない……可愛いじゃないかっ
がくりと肩を落とし、なんとかしないと……
「サロモン様ー」
能天気な声が聞こえてくる
「呼んだか?」
「はいっ!今度うちの両親に会ってもらえますか?」
…なぜ会わねばならん!
「…そのうちな、機会があれば」
「婚約したい人がいるって言ってあります」
…嘘だろ、私は王子だぞ
「アニエス、その、少しマナーを学んでくれるか?あと勉強の方にも力を入れてくれ、留年は許されない…」
「えっ!マナーは授業でもやっていますよ!少し褒められるようになったんですよ?」
「見習いたい淑女はいないのか?」
「それはやはり、セレスティーヌさんです」
…セレスティーヌさんだと?!
「身分が上の者をさんなどと呼ぶな」
少しきつい言い方ではあるが注意をする
「学園にいる限りは身分は関係ないと習いました!」
「そう言う些細なところが学園の外に出ると悪く出るものだ…それでは貴族社会ではやっていけない!」
「大丈夫です!サロモン様と結婚すると私より身分が高い人は少ないですから!」
「そう言う問題ではないっ!」
大きな声を出してしまった。
周りに居るものがこちらに注目する
「どうしたの?サロモン様最近、情緒不安定というやつですか?」
…イラッとする頭痛がする
「最近セレスティーヌさんも見掛けませんし…」
「……セレスの事を名前で呼ぶな!さん付けもやめろ!」
サロモンの言葉に驚き涙を浮かべるアニエス
「どうしてセレスティーヌさんを庇うのよ!私を愛してるんでしょ?」
…みんなの視線が痛い
「すまない、しばらく君の顔を見たくない、その間教養を磨いてくれ」
立ち去るサロモン
学園を早退してセレスティーヌに会いに行くも会わせてはくれなかった。
仕方がないので手紙を渡してくれるように頼んで邸を出た
頭痛が激しい…
アニエスの顔を見ていられない…
神様がいるのなら時を戻して欲しいほどだ…
セレスティーヌと過ごしたあの幸せだった頃に
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