具体的な人生を想起させる、具体的な描写ではなかったかもしれません。
でも、一体誰から、何から責め立てられているのかも見失うような、出所すら見失ってしまったような、茫洋とした焦燥や罪悪感。
そういうものに自らの卑下で火をくべて、なおさら追い詰められていくような。
この手の苦悩は、確かに今を生きる私たちの傍らに、ずっと寄り添っている気もします。
本当は意識だけで感じているモノ(不安感)に、現実的な力なんてないはずなのですけれど……でも、簡単に振り払えないことも、いくらか生きれば人は皆さん大なれ小なれ知っていると思います。
だから、立ち止まってじっと動かずにいられただけでも、強いことかもしれません。
そんな彼だから、常世の人は力になりに来てくれたのだと思いたい。
きっと、停滞を否定されなかった彼は、目覚めても孤独ではないでしょう。
日々の穏やかさを、私も願いたいと思います。(こちらも読んでいただき、ありがとうございました(礼