俺の下半身は<魔王>!上半身は<勇者>?そしてスキルは<パン>って…召喚時のアクシデントで分かれてしまった俺の魂!取りあえず合流は俺を殺そうとした勇者達や王族にお仕置きしてからな!

猫出R

俺の下半身は<魔王>!上半身は<勇者>?そしてスキルは<パン>

「おお!!!成功したのか?成功じゃな?【勇者召喚】成功じゃな!ようやった!ようやったぞ!」


「私たちにお任せいただければ、これくらい大したことではありません」


「くそっ…たまたまだ、たまたま成功したんだろ、いや先にやって失敗した我らのやり方を参考にして色々真似したんだろ」


「そうだ、いや、これは完璧な成功とはいえないだろ!【勇者】殿たちの姿を見てみろ!何だあの姿は?服をほぼ着ていないじゃないか!」


「はんっ、負け惜しみを!」


 ザワザワッ ザワザワッ 


「騒ぐでない!王の御膳であるぞ!」


「うむ、【勇者】殿たちも驚いて居るだろ、お前たちあまり騒ぐ出ない」


「「ははっー、もっ申し訳ございません」」



「え?ここどこ?」


「さっきまで教室で授業中だったのに、鎧着た人がいっぱい居る!今日って授業参観日だったっけ?」


「授業参観日だとしても鎧着てくる親ってどこの親だよ」


「もっもしかして?これ来たーーーー!!!」


 周りが騒がしい、ここ何処だ?なんか立派な建物の中っぽいけど…そして目の前の豪華な椅子に王冠被った小太りのどう見ても日本人に見えないおっさんが座ってるけど…。

【勇者】だー!成功だー!とか騒いでるし、もしかして【異世界召喚】ってやつか?俺が担任しているクラスの連中も一緒いるし【クラス召喚】か、…そんな事より…なんか俺のアレ・・が…。


 キャー!!!


「なっなんで私達下着姿なの?」 


「え?やだ、うそ?ブラとパンツだけになってるわ?」 


「おっホントだ!ラッキー!なんだあいつのパンツ!ボロボロだぞ、あはは」


「おい俺らだって、シャツとパンツだけになってるぞ、まあ男だし別にいいけど」


「おい、あいつを見ろ!何であいつだけ・・・・・変なの履いてるんだ?あれ?あいつ…先生じゃねーか?」 


 ギャー!!!ギャー!!!


「騒ぐでない!!誰か女どもの人数分の服を持って来るのじゃ、男どもの分は別に良いじゃろ」


「なんでだよ、俺らの分も持ってこいよ!!!そうだー!!!」


 その後、【勇者】がどうとか【魔王】を倒してくれとか、順番にこの【水晶】に手をかざせとか色々言ってきた。


 ワー!!!ワー!!!


 しかし俺はそんな事よりさっきからずっと【下半身】に違和感があって…大きくなっているのだ!!

 いや別に興奮しているわけではない!確実に物理的に大きくなっているのだ!!


 やったー【パラディン】だ!俺は【賢者】だぜ、くっそーだたの【剣士】かよ…。私【聖女】だって、経験あるんだけどいいのかな?

 マジ半透明の板が現れたぞ!ウォー!!!ヒャッホー!!!変えてくれーーー!!!


 などとまた周りが盛り上がってきているが、だから俺はそんな事よりも!


 すると突然聞いたことのある声が聞こえた―――直接頭の中に。


『よう!聞こえるか?』


「ん?何だ?誰だ?」


『おお、やっぱり居たか!ああ、とりあえず言葉に出す必要は無い、そっちの状況は詳しく分からんが直接頭の中に話しかけている。なんたって俺様・・お前・・だからな!』


「お…」(お前が俺だと?どういうことだ?)


『どうもこもうも無い、言葉の通りだよ。まあただ正確には10日前・・・・まではな』


(10日前?)


 話を要約するとこうだ。

 こっちの世界に【召喚】された時、何かのアクシデントがあり、俺の【上半身】と【下半身】が別々の場所、別々の時間軸に【召喚】された様だ。

【上半身】の俺はこの場所、多分、城に【召喚】され、【下半身】の方は【古の大陸】の【魔王城】に居た今にも死にそうな【巨漢な魔人族】の中に【転生】したとの事。その時魂も過去と現在に分かれた様だ。

 それが今から10日前の事だと言う。


 そいつの中に転生してすぐ、なんか目の前にいる【魔人族】がとどめを刺そうとこっちに向かってきてたので取りあえずそいつをぶっとばしたとの事。

 その後まだかすかにこの体の中にいた【魔人族】から話を聞いたところ、自分は【先代の魔王】からこの場所をまかされていてる【魔王】。


 正確には【魔王代理】で、【先代の魔王】からの命令で【人間族】への干渉は禁じられている。

 しかし【勇者】により多くの同胞が殺られているので【魔人族】の中には【人間族】に報復を望むものも沢山いて、遂に反乱が起きてしまったとの事。反乱軍の中には自分より強いものも多く、もう自分では押さえつけることは出来ないと。

 そして後を頼むと言い残し魂は消えて行ったとのいう。


 その後、聞き分けの無い【魔人族】を数人叩きのめすことでやっと反乱軍が落ち着き、急に性格がアグレッシブになった【魔王代理】を見て、周りは驚いていたが、何食わぬ顔で自分はそのまま【魔王代理】として振る舞う事にし、今現在まで過ごしてきたようだ。


 そしたらつい先ほど急に自分の頭の中に色々な情報が入ってきて、こうなった原因が【召喚】時にアクシデントが合ったことだと分かり、これが【魔王】の能力なのか時間軸が追いついたからなのかどうかはさておき、始めは半信半疑だったが、決定的な証拠に今まで【魔王の玉座】に腰かけていた自分の【巨漢な魔人族】である下半身が急に小さくなった…人間族の【下半身】になったという。


 上下分裂か…分かれるんならどっちかというと左右の方がよかったなぁ。


「―――んやだ!、おい聴いているのか!!」


「ん?」


「だからお前の【ジョブ】は【パン屋】だ!!」


 どうやら俺は向うの俺との会話に夢中になっている間に、勝手に手を【水晶】に添えられて【ステータス】を見られてたようだ。

 電話中に話しかけられると無意識におざなりな対応してしまうと言うあれだな。


「【パン屋】?」


「そうだ、【パン屋】だ」


「それはレアな【ジョブ】なのか?」


「まあ今までに誰も持っていた記述がないからレアと言えばレアだ!良かったな明日から人気の【パン屋】を開けるぞ!わっはっはっは」 


「おい聞いたか?先生の奴【パン屋】だってよ」


「うけるー、あははは」


「まあ、あいつにはお似合いじゃね?逆に【勇者】とかだったら【魔王】がラッキーすぎるだろ!はっはっは」


「でもあたし、あの先生が作ったパンは無理ーーー」


「わたしもー、ぎゃはははは」


 あはははっ きゃははっ


 馬鹿にしやがって…、相変わらずこいつらは教師を、いや俺を舐めてるんだろうなぁ。

 そもそも人と思っているのかも怪しい。教室でただ授業するロボットか何かと思ってるんだろう。

 自分たちが授業を受けに来ているから学校が存続してる、自分たちが教育委員会に文句を言わないから教師たちは飯を食えている。

 そんな感じで自分たちの方が立場が上とでも思っているんだろ、特に俺みたいな駆け出しの教師に対しては…。



『どうした?なんかイラついているみたいだが?さっきも言ったように俺様はもうそっちの状況は分からんのだよ!何かあったのか?』


 俺も向うの俺に軽くこちらの状況や【ステータス】の事などを説明した。


『なるほどねぇ、【クラス転移】して【ジョブ】が【パン屋】でスキルが【パン】ねぇ』


 ああ、【外れ職業】【外れスキル】だな。


『となると…この後は…』


 ああ、この後は…。


『(【王族】や【勇者】たちに追放されるか殺されそうになって、その後【チート能力】が開花する)んだろ』


 流石俺だ!思考はやはり一緒って事か。


『がははっ当たり前だ!どんな【チート能力】かな?即死パン・・チとか?ビックパン・・とかか』


 ビックパン・・はパンじゃなくバンだから無理やり過ぎないか?


『いやいや【異世界】の能力なんて語呂があってれば意外といけるんだよ、元の世界で読んだ【ラノベ】はそんな感じだったろ?がっはっは』



 その後【召喚】された教師である俺と生徒30名は個室部屋に案内された。ただ俺が案内された部屋だけはどう見てもただの物置だった。

 夕飯も俺だけ呼ばれずに部屋で1人、硬いパン・・・・と具の無いスープというフルコースだった。

 部屋の小さな窓からそんな俺を覗いて生徒全員腹を抱えて笑っていた。


 カチャ


 おいおい外から部屋の鍵をかけるのかよ…。

 街である事ない事言われるのを警戒して追放しないのか、後々何かに使える可能性を考えて始末しないのかは知らんが監禁されるとはな…。

 生徒の中に【ラノベ】好きが居るんだろうなぁ、【外れスキルチート】の可能性があっても監禁して【レベル】上げさえさせなければ大丈夫だと踏んだんだろう。


………



『ここまであからさまなら、とっとと【魔王城】に来るか?近くまで迎えをやるぞ、俺様の配下の能力で、また1つの体と心に戻れるかもしれんぞ、どっちかが消えるわけでなく同化するよう上手くやらせるし。

 その能力で無理だったとしてもこっちの世界には不思議な【魔法】や便利な【魔道具】があるし何とかなるだろ。

 まあ間違って人間の方の体にならない様に気を付けなきゃならんけどな、がっはっは』


 うーん、これでも俺はあいつらの先生だからな。すぐ見捨てるわけにはいかんだろ。


『嘘つけ!そんな事微塵も思ってないだろ』


 やっぱり分かるか?はははっ。


『どうせ、いざと言う時、躊躇しないように怒りや恨みを溜めているんだろ?』


 流石俺だな、はははっ。


『だってそうじゃなきゃ、パンの材料など無くても旨い出来立てのパンをいくらでも出せる能力があるのにわざわざくそ不味い硬いパンをあいつらの前で食わんだろ』


 だよなぁ、あいつら全員に俺の能力を勘違いさせるためにわざとやってるってお前にはバレバレだよなぁ。


『当たり前だ、お前は俺様なんだから。まあこの体が2つと言う今の状況もそれほど悪くはないが、ただなぁ不便な事もあるんだよなぁ』


 ん?なんだ?


『俺様側の【下半身】が小さい…人間だってことだよ、これでもコッチではモテモテだからさぁ。できれば早く元の体に戻りたいんだよなぁ』


 ああなるほどなぁ。


『コッチは良いぞ、俺様、いや俺たちが好きな可愛い【犬獣人族】が側近にいるんだよ、昨日まで毎晩ウハウハだったぞ』


 まじか…。わかったなるべく早く行くわ。



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽



 そしてあれから2週間ほど経った。その間俺はこの物置の様な部屋に監禁状態だった。

 誰にも呼ばれず、誰も会いに来ず、来るのは1日1回硬いパンと具の無いスープを運んでくる汚いボロボロの服を着た子供だけ。頭からケモノ耳が垂れており、首輪をしている…奴隷だろう。

 ヨタヨタと怪我や栄養失調でもしててちゃんと歩けないんだろうか?その奴隷の子供はドアを開ずに、部屋についている小窓から食い物を入れるだけだった。



 そして遂に待ちに待った運命の時がやって来た。俺はいつもの様に奴隷の子供に、パン俺の能力で出したパンを分け与えていた。

 んっ?どうやら誰か来たようだ。「早く戻りなさい」と言うと奴隷の子供はコクッと頷き、タッタッタッタッと走ってどこかへ行ってしまった。


 しばらくすると カチッ ガチャッ


 数人の兵士が偉そうに入って来た。


「おい、【クズスキル】の【ゴミ勇者】様!お前に仕事をくれてやる、出ろ!今日はお前以外の有能な【勇者】様の【荷物持ち】として働かせてやる。ありがたく思え」


「今までただで飯を食わせてやったんだ。ちゃんとご奉仕して来いよ。ぎゃっはっはっ」


「おら!とっとと立って出ろや!」


 ガンッ


 しまいには俺を蹴って来た。

 こいつらは勝手に召喚して、勝手に閉じ込めて置いて何を言っているんだ?誰も謝罪しないのか。この国も…ダメだな。



「ああ、先生お久しぶりです。元気でしたか?何処に居たんですか?ってか。はっはっはっ」


「先生!今日は昔の様にご指導のほどよろしくお願いいします。なーんてな。ぎゃははははは」


 はぁ、こいつらも随分楽しそうだな、こっちに来て更に付け上がる様になってしまったか。こいつらも…ダメだな。



▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽


 どうやら俺と【勇者様御一行】は、とある【ダンジョン】に向かうらしい。そこで【魔物】を倒し【レベルアップ】をするとの事。

 俺が監禁されている間も数日前からこいつらはその【ダンジョン】で戦闘訓練をしていたらしい。


 馬車に乘り数時間ほどかけて、【ダンジョン】に到着すると、こんなにも必要か?と言うくらいの大量の荷物を渡された。


「先生すいません、それを持って俺たちに付いて来てください。大人なんだからそれくらい余裕ですよね。くっくっくっ」


 他の生徒達も笑いを必死に堪えている。―――どうせ荷物の中見はガラクタなんだろう。


「早く例の場所に行こうぜ!」


「おう!先生、早く荷物を持ってください置いていきますよ」


―――俺を置いていくだと?そんなわけないだろ、俺が今日の主役なんだから。


 そして【魔物】を倒しながら数時間ほど進むと(まあ途中【荷物ち】の俺に嫌がらせするように【魔物】を誘導してくる奴もいたが)

 急にみんなが立ち止まった。どうやら目的地に着いたようだ。


「先生ここです。今日の目的地はここの崖の下、つまり奈落の底と呼ばれる場所の【魔物調査】です」


 ほーう、てっきり【ボス部屋】で囮役でもやらされると思っていたがこっちの方だったか。


「先生1人でここから降りて奈落の底の【魔物調査】をして来てもらいます、

凶悪な【魔物】や最強種の【ドラゴン】が居ると言う噂もありますので確かめて来てください」


 一応「何のために?」と聞いてみたが、納得できる回答は無かった。せめて考えておけよ。


「じゃあ皆ー!今からゲーム…じゃなかった、先生に気合を入れてもらうため、先生に【魔法弾】を当ててあげよう。この崖から自分の意思で飛び降りるのは勇気が居ると思うので、【魔法弾】を当てて背中を押してあげよう、そして先生を見事ここから落としてあげた人が今日のMVPだ。ぎゃっはっは」


―――なるほど、こいつらのストレス発散に役に立てって事か。じゃあもういいか…。


「よっしゃー!じゃあ俺から行」―――その前に俺は自ら崖を飛び降りた。ここまで背負って来たガラクタの入った荷物をそのまま残して。生徒達の驚き悔しがる怒号が聞こえてきた。


 ヒューーーーーーーーーーーーー


 おっそろそろ底が見えてきたな。よしじゃあ


「スキルLv4!【パン】」


 ポヨンッと白くてフワフワな食パン一斤が俺の手から現れ奈落の底へと落ちていく。まだまだー。


「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」「【パン】」


 大量の白くてフワフワな食パン一斤がどんどん奈落の底へと落ちていく。俺が奈落の底へと着くころには地面が食パンだらけになっていた。


 ポスンッ


 数千?数万?もう数えきれないくらいの大量の食パンがクッションの代わりとなり俺は無傷で奈落の底へ辿りついた。


 よっこらせっと パンッパンッと服に付いたパン粉を掃う。


 奈落の底だから真っ暗だと思ってたのに意外と明るいな、壁に付いている光る苔みたいな物のおかげなのかな?


 ドダッダッダッダッダッ ギャーギャー バタバタバタ


 おや?どうやら俺が出した焼き立て食パンの匂いにつられて奈落の底にいる【魔物】達が集まって来たようだ。

 俺は少し離れたとこにある岩陰に隠れて様子を見ていた。


 バグッバグッバグッバグッバグッバグッバグッバグッ


 すごい勢いで食パンを平らげていく【魔物】達。あれだけの量があったのにもう無くなりそうだな。

 それにしてもほとんどが【龍種】っぽいな。やはりここで生き残ってるだけはある【魔物】達だ。皆すごく強そうだ。

 その内【魔物】達の目がトロンとしてきた。もう良さそうだな。俺は【魔物】達に近づいて行った。


「やぁ初めまして」


 俺が【魔物】達に声をかけると嬉しそうに【魔物】達は俺に寄ってきてクルルっと可愛く鳴きほほをスリスリしてきた。


「いたたたた」


 流石に【龍のうろこ】は硬いな。でも可愛い。 


 これは俺の【ジョブ】、【パン屋】の能力だ。―――おや?また【スキル】の【レベル】が上がったようだ。

 

「ステータス・オープン」 


――――――――――――――――――――

名前:平 蛇俊(タイラ ダトシ)

年齢:26歳

性別:男

種族:人間族(半)

レベル:1


装備:上:純白のワンショルダーのシャツ

  :下:暗黒のプレートアーマー(下)


ジョブ:パン屋:パンを生成する事ができ、自分で生成したパンは廃棄もできる。

スキル:パン Lv1:焼き立ての白いフワフワパンを無限に出すことができる。

       Lv2:回復力のあるパンを無限に出すことができる。

       Lv3:一時的に能力が上がるパンを無限に出すことができる。

       Lv4:洗脳効果のあるパンを無限に出すことができる。

       Lv5:一時的に能力が下がるパンを無限に出すことができる。

       Lv6:酵母菌を付けた者とそっくりなパンを出すことができる。

   :異世界共通言語

称号:【召喚転移勇者(上半身)】

――――――――――――――――――――


 始めはただの美味しいパンを出すだけの能力だったが、監禁されている間、パンを出しては消し、出しては消して【スキルレベル】上げしていた。

 お陰様であの部屋に居たネズミや害虫とも今では仲良しだよ。

 それにしても【回復】に【洗脳】、【パブ】、【デバブ】と中々使える【スキル】になったな。

 新しく今覚えたパンは後で試してみよう。



『よう、聞こえるか?』


 ああ、久しぶりだな、丁度今準備が整ったとこだよ。


『そうか、じゃあ今から【魔王城】に来るのか?』


 そうだなー、大量の【龍種の魔物】を引き連れて行くけど大丈夫か?


『ん?、【龍種の魔物】?』


 ああ俺の【スキル】で【洗脳】して配下にした。


『なるほど、お前の【外れスキル】は【戦闘系チート】じゃなくてそっち系の能力だったのか、まあ【魔王城】の地下にはどでかい【ダンジョン】があるから、そこにお前が連れてきた【魔物】達を住ませることができる。心配するな』


 わかった。ただそっちに行く前にやる事があるから。


『やる事?ああそりゃそうだよな』


 俺を殺そうとしたこの国の奴らにお仕置きしなくちゃいけないからな!

 まずは大量の【龍種】を【王都】に攻め込ませる。さてさて【勇者】である生徒達や王族は勝てるかな?はっはっはっはっはっ!!!


 ……………

 ………

 …


 半日でこの国の【王都】は落ちた…。


 いくら【召喚チート勇者】共でも流石に2週間そこらじゃ【ドラゴン】を倒せるほどに強くなっていないか。


 はぁ、ざまぁって言う暇もないくらいあっけなかったなぁ…行くか。


『終わったのか?』


 ああ、今から行くわ。


『分かった、じゃあ近くの港街が見える丘の上まで来てくれ、迎えをやるから』


 ありがとう、「よし、皆出発するよ!」、俺は【犬獣人族】の子供の手を取り、大量の【龍種】達と一緒に歩き出した………。





 でも俺は、俺たちは知らなかった。結局1つの【魔人族】には成れなかった俺達が、数年後に【ルーララ】という【元魔王】の少女と死闘を繰り広げる事になるとは…。



~おまけ 魔王の方のステータス~


――――――――――――――――――――

名前:斬鬼(ザンキ)

年齢:55歳

性別:男

種族:魔人族(半)

レベル:500


装備:上:暗黒のプレートアーマー(上)

  :下:純白のブリーフ


スキル:一騎当千:自分より相手の数が多ければ多いほどステータスがUPする。

   :異世界共通言語

称号:【魔王代理(上半身)】

――――――――――――――――――――



                     おしまい

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