『火の島』 下の上の下

やましん(テンパー)

『火の島』 下の上の下


 見た目くまさん、中身は異星人、の子供は、僕たちが思っていたよりも、ずっと凄かったのです。


 彼らには、一種の集団思考力があり、瞬く間に全体の合意を取り付けたらしいのです。


 もちろん、その背景には、彼ら一族の持つ、『宇宙ごき』への反発があったことは間違いのないところです。


 ぼくと、焼き鳥おじさんと、その『見た目くまの子』は、遥か彼方に聳える、大火山に向かって出発したのです。


 もちろん、地球ごきが奪ってきた、あのパトカーに乗ってです。


 一方、地球ゴキは、例の『宇宙ゴキ』大風船人形を被って、麓の町に潜伏したのです。


 反乱の準備は、ちゃくちゃくと進みました。


 

   ***************



 しかし、近くに行けば行くほど、その火山のすごさには、圧倒されそうでした。


 近くにある様に感じたのは、あまりに大きかったからなのです。


 そいつは、火星のオリンパス山に匹敵するものだったのです。


 『これは、とてつもない火山だなあ。』


 ぼくが感嘆の声を上げたのです。


 『ううん。いやあ・・・いつも眺めてはいたが、真実とは恐ろしいものだなあ。』


 焼き鳥おじさんも、驚嘆していました。


 それでも、まだまだ、距離があります。


 『こういうところには、昔から怪物が住んでいることになってるんだ。』


 『そういうこと、言わないでください。』


 ぼくたちのこの会話を、くまさんは、だまって聞いておりました。


 でも、なんで、急に言葉が分かるようになったのか。


 それこそ、この、『見た目くまさん属』の、ものすごい能力の一環だったのです。


 まず、驚異的な、学習能力があるようなのです。


 しかし、なぜ、そんなに優秀ならば、いくらか抜けたところがある『宇宙ごき』の支配下に甘んじたのか。


 まあ、地球人類も、そうなのですが。


 パトカーの中で、ぼくは、口数が少ない、この『見た目くまの子』に、色々質問してみました


 かつて、『見た目くまさん属』には、実は地球人には及びもつかない技術力が、あったらしいのですが、あることがきっかけで、それを自ら、封印してしまったらしいのです。



   ***************    🌋





 








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