第9話「そうだ、依頼を受けよう」
「じっとしてるのもアレだし・・・依頼受けるか」
翌朝、キョウコが買い物に出かけている間に家の中の掃除をやった。
生活魔法とやらでも綺麗に出来るらしいが・・・・創造魔法で掃除道具を作り、掃き掃除や手縫いで作った雑巾で床拭きなどをしてやる事を消化した。
「ただいま~」
「おー、おかえり~。何か買えたか?」
「うん、ちょっとね~」
キョウコから聞いた話だと、聖女と言う職を持っている所為でか道行く道で買い物をする時に安値でまける人が多く居たんだとか。
確か
つまりは―――
聖女は神に仕える身である為、神に対して冒涜な行為をしたとしてその人に神からの叱責を受けるんだそうだ。
だから町の売り物なんかは聖女に対して穏便に済ませようと能力値の高い装備品や品の在る飲食物なんかは安値で買って貰う事が多いんだそう。
「あ~、俺の時はそうはならなかったからあれはあれでマシか」
「い~な~・・・私も普通に買い物したかったんだけど」
そう言ってしょげる彼女を慰めつつ、俺は誘う事に決めた。
「そうだ、気分転換として食後に依頼を受けてみるのはどうだ?」
「依頼・・・そうだ、私冒険者になってないから受けないと」
んでもって――――
「―――取り敢えずギルドカードが出来ました!このカードはランク毎に受ける依頼も違うのでご用心下さい。後、カードを紛失してしまった場合はイチから冒険者カードを作る事にはなりますし、それに加えて国に入る際、城門の内外にて
俺の時はそれ程説明とかも無かったが一応キョウコは"聖女"の職である為、長くはなるが説明をする事になった。
「それと・・・Cランク以上に上がる際はレンさんにも仰いましたが、基本的に一人のみで特殊依頼とかを受ける事と一人で試験を受ける事になるのでご用心下さい。但し、聖女であるキョウコ様の場合はレンさんのサポートを受ける事は可能なのでご安心ください」
「分かりました!説明ありがとうございます!」
受付嬢であるリリさんは俺を見てウィンクをしてきた。
彼女なりのお礼と言う事だな
「取り敢えず今は・・・・
「うん!となると・・・ランクの低そうな討伐は無いね?」
依頼掲示板を見てみるがGランクはGランク用の討伐があり、スライムだったりゴブリン系統だったり。
その2種類しかないが仮免初心者には人気なので薬草の採集依頼しか残っていなかった。
「聖女としては調合師とか錬金魔導師ぐらいのスキルは所持するとは思わんが・・・持ってたりする?」
俺がそう聞くとキョウコは首を横に振る。
「普通、聖女は回復担当だから意味無いと思うんだけど・・・」
と、彼女はそう言う。
まぁ当たり前だよな
「まぁ、仕方ない。直感で野草とか薬草とかを見極めないとな」
「そうね、頑張るわ!」
そうそう、昨日の一件であるカレスは無事良識的な貴族に買い取られたらしく、今じゃその元貴族の子女と老夫婦と仲良く暮らしているらしい。
アイツには弟が居るらしいからそのうち会わないと・・・
「よし、それじゃ」
「行こっ!」
薬草の依頼を取ろうとした時――――
「大変だッ!魔族の一人が魔物を100体連れて襲撃しに来たぞっ!!!」
若い冒険者が血泥まみれな姿で血相を変えて入って来た。
「本当ですかッ?!」
「あぁ!リリさんッ!緊急依頼を出してくれ!!」
その冒険者の一言でギルドでは騒がしくなった。
因みにギルマスの居る部屋にその冒険者は入って行き、説明中らしい。
暫くして出て来たその若い冒険者とギルマスは出て来て
「今張ってある掲示板のは無効とし、緊急依頼を発令する!!!ランク問わず全員討伐に参加してくれ!!!」
ギルドマスターであるデトスさんがそう大声で言い、ギルド内に居る冒険者はそれぞれメンバーを組んでギルドに出た。
「―――さて・・・デトスさん、俺等も行くんで相場に応じて彼女のランクアップの検討をお願いします」
「おう!宜しく頼む!向こうにはアンデット系の魔物も多く居るから気を付けろよ!」
俺とキョウコは急いで城外に行き、俺は遠視の魔法で数を調べた。
近くにいる冒険者に声をかけて
「なぁ、さっき来たヤツからは数聞いたか?」
「詳しくは言って無いが100は居るって言ってたぞ?」
俺は顔を険しくなり
「俺の名前使っても良いから騎士団を要請してくれ、俺の事を知ってる人が今城内に居る筈だ」
「と言うと―――」
俺は遠視魔法を解き、答えた。
1万以上の
俺から聞いたその冒険者は急いで騎士団の下へ走って行った。
「お前等!騎士団が来るまでこの
ギルマスのデトスさんがそう言うと、冒険者達は雄叫びを上げて―――それぞれ戦闘を始めた。
「キョウコ!怪我人を一斉に回復させることは可能か?!」
「勿論!何のために聖女になったと思ってんの?」
俺とキョウコはそれぞれ別行動を始めた。
「魔力回復薬だッ!使っとけ!」
「助かるッ!!ウォォォォオオッ!」
俺はポーションを瞬時に創って他の冒険者に渡したりしながら
「甘いっ!」
「グォォンッ?!」
襲って来た魔物を刀銃を使って刃の部分で切って倒したり、創造で創った弾丸を込めて的確に魔物達が来る方向から弾を打ち込んだ。
そして途中から呼びに行った冒険者の知らせで駆け付けたであろう騎士団が大勢連れて来た。
「お前達!冒険者に続いて魔物達を倒せッ!」
「ウォォオオッ!」
そして暫く経っただろうか、どんどん魔物の数は減って行き、怪我を負った冒険者が出てくる中、聖職者たちも応援に駆けつけて来て回復が間に合った。
聖職者たちに紛れてキョウコも数百程の怪我人を一度一斉に直していった。
「頑張って下さい!皆さん!」
「おうよ!」
「任せなッ!」
そして、また暫く経ったタイミングで――――
とある魔族の男が現れた。
「チィッ人間にここまで押されるとは・・・・」
雰囲気からして―――上位以上の魔物だろうと推測する。
その魔族の男は魔法を放ち、一斉に冒険者に襲い掛かる。
「退け退けェッ!!!ゴミ共がッ!!!!」
「何なんだあの魔族!つ、強すぎるッ!!!」
「下がれ!下がれ!ヤツに倒されるぞッ!」
その魔族の男が手に持っている玉のようなものを天に掲げて
「
その魔族の男が掲げたその玉が黒光りに輝き、地面からスケルトンやゾンビなどの不死者と言われているアンデットの軍勢を追加で呼び覚ました。
「あの野郎、召喚石を使いやがったッ聖職者を連れて来いッ!!!」
その冒険者のうち一人から俺やキョウコや聖職者達に伝わり、聖職者達が駆けつけて生還する聖魔法を相手の魔族の男との防戦一方で繰り返していった。
「私も手伝うわッ!」
「仕方ない・・・俺が全力でサポートするッ!ありったけの魔力を込めろっ!」
キョウコも聖魔法や生還魔法を繰り返しながらゾンビやスケルトンを蹴散らしていく。
聖職者が一か所の方に集まり、魔物達も
「仕方ない、こうなったら・・・いでよ!【
「ルゥォォォオオオオオッ!!!!」
強大な魔力を持ち魔導師の姿をした骸骨が現れた。
「うっ、嘘だろっ?!いくら我ら聖職者達でも歯が立たない奴だぞッ?!」
「グゥォォォオオオオオッ!!!!」
「行けっ!
俺はその骸骨王とやらの魔物を一瞬見た。
何故か抵抗しているようにも見えたのだ。
「(・・・まさか・・・これなら・・・)冒険者の皆さん!騎士団の皆さん!聖職者の皆さん!ここは俺と
「し、しかしッ!!」
「良いから早くッ!!!」
俺の必死の説得で騎士団、聖職者達、冒険者達は後方に急いで下がり俺は前に出た。
「ヤツは聖魔法だとダメージを受けやすいが俺にやらせてくれ、サポートを頼む」
「分かったわ!」
そんな俺とキョウコのやり取りを見たその魔族の男は大笑いし
「
「グルォォォオオオッ!!!」
骸骨王が魔法を発動するが、俺は隙を見て
「今だッ!」
「オッケー!【支援魔法:ステータスアップ】!」
キョウコの魔法で俺のステータスは限界値まで来た。
そのまま骸骨王の闇魔法を避けて懐に入り
「【洗脳解除】!」
「!!!!」
すると、俺の放った魔法でその骸骨王が目を覚まし
「ここは一体・・・ワシは何を・・・」
「くそッ!まさか洗脳魔法を解除する事が出来る奴が居るなんて聞いてないぞッ?!」
洗脳が説かれた骸骨王を見てそう慌てる魔族の男は逃げようとするが―――
ヤツに気付いたその骸骨王は咄嗟に魔法を放った。
「ワシをコケにして操った若造がッ易々と逃げ切れると思うなッ!!【闇魔法:煉獄峠】ッ!!!」
「んなッ?!・・・こうなったらっ」
骸骨王の魔法で逃げ道を失ったその魔族の男は魔法で逃げ道を作ろうとするが
「ワシの闇魔法で逃げれると思うな若造ッ!・・・そこの男よトドメはお主に譲るぞ」
「そうかい・・・んならやらせて貰うよッ!」
俺は今使える魔法を一つ、使う事にした。
「神魔法・・・・【
「う、うわああああああああああああああああああああああああッ?!」
俺の放った神魔法(※オリジナル)でその魔族の男を倒した。
俺がヤツを倒した事で、勝利となった。
そして数日後、色々あったがキョウコはやっとGからF・・・と思ったが冒険者達の熱意や聖職者達の懇意により特例としてCランクに上がった。
そして一つ、変わった事と言えば――――
グリム・リッチー
「骨付き焼き肉お待ちっ!暑いから息でフーフーしてから食べなっ!」
「うっひょー、ありがとうな!グリムのおっちゃん!」
骸骨王―――今は国が保護した事で彼は俺の仲間として不死の王から取って
【
どうやら彼は生前に名も無き最強魔導師として世界に轟いていたが、病には勝てず魔物に襲われて亡くなったらしい。
それ以降の記憶は無いらしいが、気付いたら自身が敵対していた魔族に操られていた事に憤りを感じたらしい。
彼の仕事が終わり、俺の元へと戻って来た。
「ただいま戻りましたぞ~若」
「おう、お仕事お疲れさん。結構働いたろ?休んどけよ~」
俺がそう言うとグリムは首を横に振って拒否をし
「いえ、儂はレン様の使いとして居候の身で不死者。若達とは違って疲れが無いのでそれ以上に働かせればそれで幸せですぞ!」
彼はそう言って笑顔で返す。
グリムが「そう言えば」と言い
「あの後の魔族の男の件は無事処理出来ましたかな?」
「おう、かなり手応えあったしな・・・それより」
俺は一つ、疲れそうな事を思い出した。
「明後日、俺とキョウコは国王様とやらに会いに城に足を運ばないといけないし」
「ふむ、ワシも嘗ては仕事が恋人であるが故。そう言った窮屈な事は苦手でしたな」
「そう言えば帝国出身だったんだよな?」
帝国で生まれて帝国で育ったグリムは魔法の才に目覚め、名をはせる事は無かったが、人相書きで何故か良い方の有名人になり、度々にお城に招待される事が多かったらしい。
んで、とある魔物関係で今に至ると。
「まぁ、ワシを気に入っていた当時の姫には申し訳無かったですしなぁ~今ではお婆ちゃんですかな?」
そして、キョウコが部屋から降りて来て
「ねぇ、確か明後日よね?お城に出向くの」
「おー、・・・あっそうだ。グリム、俺の背中洗ってくれ」
「承知しました。若」
グリムと一緒に風呂に入り、上がった後は俺とキョウコは別々の部屋に入り、寝る事にした。
一方――――
「・・・姫、不出来な男で申し訳無い。」
その男グリムは、元々帝国の皇女に恋をしていた。
当時はまだ、戦争の真っ只中だったが為、帝国の我欲を恐れて離れてしまったが為、彼女の情報は一切知らずに亡くなってしまったのだ。
「ふむ、翌朝にギルドに訪ねてみるとしようかの・・・」
息を吐く喉は無いが溜息をする動作をしながらその男は夜空を眺めていた。
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