【更新無期停止】四番目の欲求

貴音真

殺傷欲求

 画面の前の皆さん、はじめまして

 あるいは、お久しぶりです

 私は無より生まれし者、無生ムウです

 ところで皆さんは、ヒトの三大欲求ってご存知ですか?

 食欲、性欲、睡眠欲…

 一般的にこれら三つの欲がヒトの三大欲求と言われています

 しかし、果たしてそれは正しいのでしょうか?

 フフフ…

 人間の欲は千差万別

 百人いれば百通り、億人いれば億通り

 ヒトの欲とは、単純ではないのです


 それでは、今回のヒトの欲を観察してみましょう…




「助けて…お願い…もうやめて……」


「ギュフフフ…はねえ、女の子の怯える表情かおが好きなんだよお…さあ、もっとその表情かおを見せておくれえ……」


 今回の主役は二人の男女です

 薄暗い部屋の中にいる男女は共に衣服を一切着用せず、男は立ち、その手にペンチを持っていて、女は仰向けでベッドに寝転がり、その両手足をベッドのに縄で固定されています

 男の名は鹿島灘かしまなだ三郎太さぶろうた、三十四歳のフリーター、ずんぐりとえた体型に伸ばしっぱなしの無造作なロングヘアー、『ボキュ』という独特な一人称が特徴的です

 彼は三十四年の生涯で未だに女性経験がありません

 その体型から食欲は大いに満たされていることでしょうが、果たして睡眠欲と性欲はどうなのでしょうか?

 三郎太の前にあるベッドに縛り付けられているこの女は前島まえじま姫果ひめか、女というにはまだ若い十六歳の女子高生です

 黒色のロングヘアー、ぱっちりとした瞳に整った顔立ち、ほっそりとした体型に似合わぬ肉感的な身体からだ、姫果の容姿は美少女と言って相違ないでしょう

 しかし、彼女はその若さ故なのか男性経験はありません

 それだけでなく、ほっそりとしたその体型は食欲を満たせているのでしょうか?

 そして、睡眠欲は?

 三郎太と姫果、果たして二人の欲求は満たされているのでしょうか?

 フフフ…

 それは、二人に見せてもらいましょう…




「むぐ…!!?…んーーーー!!」


 姫果が目を覚ますとそこは薄暗い部屋の中だった。

 部屋の中には小さな裸電球がぶら下がっており、部屋の中には姫果が寝ていたベッドしかなかった。

 姫果はそのベッドの上で両手足をベッドの足に縛り付けられた状態だった。

 目を覚ました姫果は事態を呑み込めずに驚いて大声を発したが、その声は口に付けられた結び目のある手拭いにより遮られ、呻き声ほどの音にしかならなかった。

 その後の姫果は自身の状況を受け入れるのが早かった。そして、自らの置かれている状況を整理するために記憶を辿った。

 自分がどうしてこうなっているのか、その記憶を辿った姫果はここで目を覚ます前に意識を失った時のことを思い出した。

 意識失う前、姫果は『パパ活』の客と一緒に買い物をしていた。

 パパ活とは、主に若い女が客を取り、その客をパパと称して買い物をしたり遊んだりする活動しごとである。

 援助交際と呼ばれる性行為を伴う交際しごととは異なり、性的なことをしないというのがパパ活の基本ルールだが、これは建前であり、客と女のやり取り次第では援助交際とパパ活は、名称よびかたが違うだけで同じ行為しごととなる場合がある。

 しかし、姫果の場合はと呼ばれるそれらの行為をしない、健全とパパ活であった。

 その最中、姫果は客の男にあるお願いをした。

 姫果の願いとは、『私のストーカーを懲らしめて欲しい』というものだった。

 懲らしめてくれたらをするという姫果に対し、客の男はあっさりとその願いを受け入れた。

 そして、男はいつもなら姫果に断られて十九時で切り上げるパパ活を、その日だけは二十一時まで延長した。

 これは、姫果の策略だった。

 姫果は誰からもストーカー行為などされていなかったのである。

 しかし、姫果は客の男に対し、近くを彷徨いていた肥えた男をストーカーだと言った。

 その男は三郎太だった。

 筋骨隆々で柔道有段者という客の男は、臆すことなく三郎太へ近づき、胸ぐらを掴むと問答無用で顔面を殴りつけた。男の失策ミスは三郎太を殴ったことだった。

 柔道有段者である客の男は素人相手に投げを放つことが出来ず、一般人の喧嘩のように顔を殴ってしまった。

 その次の瞬間、三郎太の胸ぐらを掴んでいた客の男は予期せぬ反撃を受けた。バチッという大きな音が十秒ほど鳴り続け、筋骨隆々のその男は激しく痙攣けいれんした後で完全に意識を失った。

 そして、さらに次の瞬間、姫果はその音の正体を知ると共に意識を失うことになった。

 三郎太の手には改造された強力なスタンガンが握られていた。


「んむーーー!!!!!」


 見知らぬ部屋で目を覚ましてから十数分後、姫果はガムテープで塞がれた口の中から伝わるおぞましい感覚に身を捩り、声にならない叫び声を発していた。

 姫果は自身の脳髄が敏感に感じ取る口内から絶え間なく伝わる感覚、ぬめりを伴ったチクチクとしたトゲのある物体が激しく這い回る感覚に支配されていた。


「むーーーー!!!!!」


 姫果は涙とはなみずを放出しながら繰り返し叫んだが、その叫び声が声となって発せられることはなかった。

 縛られた状態で狂った様に肉体からだを跳ね回している姫果の発する音に紛れ、液体が勢いよく放出される様なプシャッという小さな音がした。それと同時に姫果の股間からは恐怖と絶望の証となる液体が流れ出た。

 自身の脳髄が感知し続けるあまりにもおぞましいその感覚に耐えきれず、姫果は肉体からだを痙攣させながら失禁していた。

 それでも尚、姫果の脳髄は姫果に意識を失わせることを許さなかった。

 姫果の口内から脳髄へと伝わるおぞましい感覚の正体…それは、五センチほどの大きさがある四匹のクロゴキブリの蠢動しゅんどうであった。

 五百円玉の二倍近くある大きなゴキブリにとって、姫果の口内は決して広い空間ではなく、四匹のゴキブリ達は姫果の口内を所狭しと這いずり回っていた。

 歯、歯茎、舌、舌下ぜっかにある口底部から上顎の口蓋部、上下の唇の裏、左右の頬の内側、口蓋垂のどちんこなど、口内のあらゆる場所をゴキブリ達が這い回った。

 それはまるで激しいキスによる愛撫の様に、口内の全てを刺激していた。


「うぶ……ふげ……おげ……げ……」


 這い回るゴキブリ達の愛撫に耐えきれなくなったのか、姫果は不意に呻き声を漏らしながら嘔吐し、鼻から吐瀉物を噴射した。

 姫果は失禁しながらも嘔吐することだけは必死で我慢していたが、繰り返されるゴキブリ達の激しい愛撫により姫果の肉体からだは拒絶反応を示し続け、既に何度も胃の奥から吐瀉物が込み上げていた。

 しかし、姫果はその吐瀉物を喉から先へは運ばせなかった。それは、口をガムテープで塞がれているが故の我慢だった。

 口をガムテープで閉じられた状態で嘔吐することは口内を吐瀉物で満たすことになる。そして、口内を満たした吐瀉物は行き場を無くして鼻から噴射し、それでも出し足りない場合は眼から押し出されるのである。

 姫果はそれを知ってはいなかった。ただ、鼻から漏らすことになるのは感じていたが、それを嫌悪した故の我慢ではなかった。

 姫果は口内を満たしたの中で、ゴキブリ達がどんな動きをするのかが恐ろしくて我慢していた。

 しかし、姫果は何度も込み上げる吐瀉物の勢いに耐えられなくなり、鼻から吐瀉物を撒き散らしていた。


「ギュフフフフ…いいねえ、いいねえ…ボキュの大好きな表情かおだよ……前島まえじま姫果ひめかちゃん」


「!!!」


 自らの吐瀉物で鼻腔、口腔、咽頭に至るまでを塞がれ、溺れた様な状態になっていた姫果は、三郎太に名を呼ばれたことに対して動揺を隠せなかった。

 姫果はパパ活の最中に三郎太に拐われてこの場所へ運ばれた。そのきっかけは姫果が三郎太をストーカーと言ったことだが、二人はその時が初対面であり、三郎太に姫果の名を知られているはずがなかった。


「おぶ……むぶ……」


 姫果は呼吸困難と喉に当たる異物感の中で三郎太の顔を見た。

 なぜこの男は自分の名を知っているのか?

 鼻腔と口腔を満たす吐瀉物の臭気、口内と喉奥に感じるおぞましい蠢動、溺れた時と同じ圧迫感と酸欠による苦痛、姫果はそれらの肉体的な感覚よりも三郎太が自らの名を知っているという、得も言われぬ精神的な気持ち悪さを強く抱いていた。

 パパ活をする時の姫果は、自らの素性を隠すために身分証は一切持ち歩かず、スマートフォンは通信会社とは契約をしていない白ロムを街中のインターネットスポットに繋いで使用していた。そして、客との連絡はそのスマートフォンで作成したSNSのアカウントを用いている。

 仮にそのスマートフォンを解析されたとしても前島姫果という名の人物にはたどり着くことは出来ず、姫果が気絶している間に荷物を漁られて身分を知られたというのはあり得なかった。

 しかし、三郎太は姫果の名を知っていた。


「ムヒュヒュヒュヒュ…ん?おっとお、ごめんごめん…窒息死なんてつまらないから外して上げるよお…」


 そう言うと、三郎太は姫果の口を塞いでいたガムテープを勢いよく剥がした。途端に姫果の口から吐瀉物がビチャビチャと音を立てて排出され、その少し後でゴボッという下水道が逆流したような音が姫果の喉奥から漏れた。

 姫果の口から溢れ出た吐瀉物の中には、一瞬前まで姫果の口内から咽頭部を泳いでいたゴキブリ達がいた。その内の一匹は姫果の首筋、さらにもう一匹が姫果の胸部、残る二匹はベッドに撒き散らされた姫果の吐瀉物の中にいた。

 窒息状態から解放された姫果は嗚咽にも似た呻き声を上げながら激しい咳嗽せきを繰り返していた。それは通常の咳嗽せきの様に乾いた音を放つものではなく、吐瀉物混じりの湿った音を放つ咳嗽せきだった。


「ああもお、汚いなあ…せっかく寝心地抜群の高いベッドなのに、姫果ひめかちゃんの汚いゲロとションベン塗れじゃないかあ…これはもうあれをするしかないなあ…」


 三郎太は部屋へ来る時に持ってきた箱からペンチを取り出した。

 高級とされるそのベッドは、姫果の頭部がある付近は吐瀉物で汚れ、姫果の下半身付近は尿で汚れていた。


「助けて…お願い…もうやめて……」


「ギュフフフ…はねえ、女の子の怯える表情かおが好きなんだよお…さあ、もっとその表情かおを見せておくれえ……ほおら、見ててねえ…ふんっ!」


 ビチャッという湿った音と共に飛び散った血飛沫ちしぶきが姫果の顔面を赤く染めた。

 三郎太は手にしたペンチで自身の前歯を挟むと一気に引き抜いたのだった。

 三郎太はその行為を、さらに二本、三本と繰り返し、とうとう前歯は全て引き抜かれ、飛び散った血飛沫ちしぶきと三郎太が意図的に吹き掛けた血によって、姫果の顔面は吐瀉物ではなく血にまみれ、姫果の下腹部もまた血にまみれていた。

 それから三郎太は、歯を引き抜いた傷口から絶え間なく流れ出る血が口に溜まると、箱から生きたゴキブリを取り出して口に含み、それを無理矢理抉じ開けた姫果の口内へと流し込んだ。

 二度三度どころではなく、五度六度と繰り返されたその行為に姫果は意識を失うほどの嫌悪感を抱いたが、どんなに意識を失いたくても姫果の脳髄はそれを拒み、覚醒し続けていた。


「うげえっ……おえ……あなたは…あなたは何でこんなことするの…」


 七度目の血とゴキブリを送る忌まわしいキスの直前、姫果は三郎太へと問いかけた。


「あなたはなんで私の名前を知っているの…なんで私の意識はこんなに冴えているの…」


 その質問に三郎太はあっさりと答えた。

 三郎太が姫果の名を知っている理由はパパ活の客の男だった。偽名を使ってパパ活をしていた姫果だが、あの客の男は姫果の本名を調べていた。姫果はそれをされていることに気がついていなかったが、客の男はただの客ではなく、姫果のストーカーだったと三郎太は言った。

 そして、姫果の意識が覚醒しているのは、パパ活中に飲んだジュースにあの男が薬を盛ったからだと言った。


「ニュフフフフ…あの男も酷いことするよねえ…ストーカーに加えて違法ドラッグだなんて…でも安心してね、中毒性は無いらしいから…それに、ボキュの血とゴキブリ様の生命力を分けてあげているんだからすぐに良くなるよ…さあ次だよお……」


「ま、待って!」


 ゴキブリを口内に含んで口を閉じ、口内の血を集めるべく口を濯ぐように動かし始めた三郎太を姫果は制止した。

 三郎太は口を閉じたままで姫果に視線を送った。

 その視線はまるで「言いたいことがあるならば早く言え」と言っているようだった。


「……あの…あのね…私、もう我慢出来ないの…」


 姫果はなまめかしく肉体からだをくねらせ、甘える様な声で言った。

 その様子に三郎太は一瞬怪訝そうな表情かおをしたが、口に含んでいたゴキブリと血をその辺に吐き出すと姫果を見て口を開いた。


「ヌヒュヒュ…なんの真似だい?今さら拒んでももう遅いんだよお…我慢出来なくてもやらないとお…穢れは取れないし、ボキュが満足出来ないじゃないかあ…」


 三郎太は姫果が一連の行為に我慢出来なくなったのかと思い、非難する様な眼差しを姫果に向けた。

 しかし、姫果の放った言葉の意味はそうではなかった。


「ち、違うの…私ね…あなたが好きで我慢出来ないの……ねえ、しよ?」


「ブヒャヒャヒャ!なあんだ、そおかあ!ボキュのコレが欲しいんだねえ!」


 姫果の誘いに三郎太は乗った。

 三十四年間ずっと女性経験がなかった三郎太の性欲は、誰が見ても美少女と断言する容姿を持つ姫果の誘いによって爆発した。

 それまでは姫果の肉体からだに触る度胸もなく、唯一出来ていたのが三郎太が自身の部屋で同居し、愛食しているゴキブリを媒介にした儀式のような狂ったキスだけであった。

 しかし、度胸がない男であっても理性のたがが外れる瞬間がある。

 それは、『に支配された瞬間』である。

 三郎太は姫果の甘い誘いにより理性のたがが外れ、性欲に支配された。


「あ…痛っ…痛いよ…もっと優しく…ね?」


「ギュフ…ご、ごめん…」


「ふふ、いいよ、許す。……あ、ちょっと待って…えっと、あなたの名前は?」


 自身の乳房を力任せに鷲掴みにする三郎太を制止した姫果は、優しく微笑んで名前を訊いた。

 三郎太はすぐに答えた。

 性欲に支配された三郎太はもはや姫果の言いなりだった。姫果が縄を解いて欲しいと言うと三郎太はあっさりとそれを解いた。

 そして、手足が自由になった姫果は三郎太に下になるように言うと、上に乗って三郎太の下腹部に腰を下ろし始めた。

 その時だった。


「ブギィィィィィィィ!!!」


 根菜をし折る様なポキッという音と共に三郎太の悲鳴が室内に響いた。

 それは、隆々といきり立っていた三郎太の陰茎が折れた音だった。

 姫果は三郎太の下腹部へ腰を下ろす時、意図的に重心をずらした。ずれた重心によって三郎太の陰茎には横方向から姫果の体重が加わり、それにより陰茎折症いんけいせっしょうを起こした。


「ふふ…バーカ。心底気持ち悪いのよ、あんた……あ、いいもんみっけ…よっと!」


 姫果は痛みに悶えていた三郎太から離れると三郎太の持ってきた箱の中を漁り、その中から金槌を見つけて取り出した。

 その金槌は正確には玄翁げんのうであり、柄の長さは約五十センチ、頭の重さが約四キロという物だった。

 姫果が金槌を手にした直後、ゴツッという硬いものと硬いものがぶつかる鈍い音がした。そして、その音と合わせるように再び三郎太の悲鳴が響いた。


「グギャアアアアアアア!!!!!」


「あははは!ねえ、痛い?痛いかな?じゃあコレは?ココは?コッチは?ねえねえ、どうなの?ココとココならどっちが痛い?ほら、答えてよ。あっ、そうだ!ココなんてどうかな?ねえ?試してみよう、よ!!」


「ぎ…や、やめ…ギビャアアアア!!!!!ぐ………」


 姫果は金槌を手にした直後、三郎太の方へ身を翻し、その金槌を躊躇なく三郎太の頭部へ降り下ろすと、それから何度も何度も繰り返し金槌を降り下ろした。頭、腕、足、腰、腹、背中、姫果は愉しそうに笑いながら部位を問わず三郎太の全身を滅多打ちにした。

 そして、姫果は最後の仕上げとして、骨が折れた苦痛による肉体的要因と、自らの童貞を捧げるはずだった美少女の豹変に対する恐怖による精神的要因、肉体的にも精神的にも動けなくなっていた三郎太の睾丸へ金槌を降り下ろした。

 金槌が打ち下ろされた瞬間、ブチュッという音が鳴り、三郎太は完全に意識を失った。


「なあんだ…もう終わり?デブのくせに脆いんだね。そもそもデブは痛め付けてもあとがわかりにくいから面白くないし、最悪…あーあ、せっかくあの筋肉バカにを与えてどっかで痛め付けてやろうと思っていたのに、まさかデブがこんなことするなんてね。とんだ予定外だわ…つかゴキブリを口に突っ込まれるとかマジで最悪…デブの血も飲まされたし…気晴らしに新しい獲物を探そっと…今回は手っ取り早く裏オブ希望の奴でも捕まえるかな………あー、デブ郎太ロータだっけ?私はもう行くから、もし生き延びてダイエットしたら獲物にしてあげてもいいよ。そんときはそうだなあ…あんたにやられたスタンガンを眼とか口とか玉とかに喰らわしてあげるよ。今日の金槌なんかよりもっと刺激的な反応してよね。そうそう、この金槌貰ってくよ。じゃあ、頑張って生きてね……」


 これが姫果の欲であった。

 姫果はパパ活を繰り返し、下心を抱いて自らに寄ってくる男達を執拗に暴行していた。それによって男が死んだとしても全く気にせず、その行為を愉しんでいた。

 しかし、今回はその相手を選別し、相手を誘い込むためのきっかけを作ろうとしたところで三郎太に邪魔された。

 それにより、姫果は予定を変更し、本来の獲物ではない三郎太へ自らの欲をぶつけようと考えた。三郎太による意図のわからぬ拷問にも似た一連の行為を受けながらも、姫果は三郎太を暴行することだけを考え、反撃の機会をじっと待ち、三郎太の性欲に漬け込んでそれを実行したのだった。




 …如何でしたか?

 彼女は自身の容姿を最大限に利用し、男達を痛め付け、時には殺してきました

 しかし、その殺傷欲にはリスクが伴います

 今回は獲物に仕事を与え、その仕事をやり遂げた獲物に対して褒美をあげるふりをして誘い込むはずが、獲物は餌として与えたはずの存在に喰い殺され、その餌は彼女自身にも牙を突き立てました

 結果はご覧の通りですが、いつか彼女はその欲に喰い殺されるでしょう

 え?

 彼女は狂った無差別殺人者ではないか、ですか?

 フフフ…

 いいえ、彼女は選んでいます

 自身の欲望をより強く、より長く満たしてくれる人物を…

 さて、彼女はこの後、再び獲物を捕まえにいきました

 男性の皆さん、どれほど魅力的な女性であっても、その心に抱える欲求がどの様な狂気かたちかはわかりませんのでくれぐれもご注意を…

 では、また次回、お会いしましょう


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