第23階 フォアローゼズ

 私は集まった皆におまじないをかけた。

特に表立って派手な演出がある様な類いではなかったけどもそれぞれの両目に星が刻まれた。


 全天さん、クラーガ、ミリフィムちゃん、アルテンさん、倶天さん、カゲードさんは六芒星が。


 倶全君、ハツミリム、ドゲートさんは七芒星が。


 私と四姉妹は五芒星だった


 「それと貴女達4人には"フォアローゼズ"の名を与えます。これからもよろしくね!」


ドミノ倒しの様にテンポ良く四姉妹は頷いて

みんなで微笑みながら見合っていた。


 「これで終わりよ、さて私は明日朝一で神の王の地へ飛ぶ」


 私は微笑み、翻した。


 「おい!オレ様も行かせてくれ!」


 私は彼に微笑んだ。


「妹を守ってあげなさい、ねぇ?」


 悔しそうな表情を向けるクラーガ。


「だが...しかし、1人でなんて」


 目を逸らすクラーガ。


 「シアは私1人で滅ぼしたわ」


 クラーガは笑みを浮かべた。

安堵とも諦めとも取れる笑みを。


 「悔しいがオレ様の出る幕ではない様だ」


 去ろうとしたクラーガに私は心の中で激励を送っていた。


 (「頑張ってねと」)


 そして私は、


「倶全君いいかな?」


 小さく頷く彼がいた。

私は人目につかない場所に2人でいた。


 「今日は伝えるべき事があるの」


 倶全君は無言だった。


 「聞いて欲しい」


 (「分かった」)


 「ルヴァイと巨人の祖の位置は分かるわね?」


 (「あぁ...」)


 「この戦時中の混乱を利用して、ルヴァイと半完が何か起こすかもしれない。クラーガと共に行動して欲しい」


 (「任せて」)


 「あと1つだけ、何かあれば特にそれぞれの父親に伝えるべき事、あくまで偵察よ?」


 (「やり遂げる」)


 「安心したわ、必ず2人で行ってね。2人の力を信じているから」


 (「承知した」)


 その直後、複数の尻餅をつく音が聞こえた。


 「フォアローゼズ起立!!」


 急いでいたのか、4人が転げて来た。


 「「「「はい!!!」」」」


 4人は綺麗に背筋を伸ばして立っている。


 「イム、頑張りなさいね」


 「ふぁわわわわわ!」


 と顔を真っ赤にするイム。


 「マスカリアちょっといいかな?」


 誇らしげに微笑むマスカリア。


 「いいぜぇっ!」


 2人で歩く私達。外に出る為に。


 「マスカリアから貰った"あの力"なんだけど」


 私は自分の胸に手を置いた。


 「わたしがあげた、あれかい?」


 「そう、あれ」


 と私は言いながら具現化させた。


 "転災てんさい"


 「何...この力!?まさか、欠点を補う程に

輝く事になるなんて!!!」


 私は魔術のシンボルでもある、目の模様が特徴的な圧倒的な威圧感を放つ杖を握っていた。


 "マホウノランプ"


 「仕組みは分かったから明日は貴女達も使える様にお披露目という事になるわ」


 マスカリアは驚きで腰を抜かしていた。


 「びっくりしたよ!余りにも強力過ぎて」


 マスカリアのいつも大きな瞳が更にとても大きく見開いていた。


 「私の欠点は"犠牲愛"それは全てに到達する鍵だった。

 愛すべき者を真摯に愛する事をメイユールに教えて貰った」


 それは愛の正しい使い方だと思う。

私が納得のいく最高の使用方法だった。

 犠牲を必要とせずに願いを叶える魔法に昇華したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る