第19階 星座の様に
「ガハハハハハハ!!!だがな彼奴は脅威だがな。
一撃を耐え切った事で我は不動のNo.2を得たのだ!
神々で調子に乗っていたシアでさえキレの前では構えるのが精一杯だったからなぁ」
全天さんの目の前から酒が一瞬で消えて行く。
「マテハ様の食事を持ってこい!!」
何故かマテハの前で星一族の戦士達が土下座していた。
果実たっぷりのジュースを丁寧に注がれながら空いた皿が瞬時に取り替えられるという至れり尽せりの最上級のおもてなしを受けていた。
「ギブ!ギブ!」
「私は競争してないし、普通に美味しく食べているだけだから...ね?」
イムの前に大量に皿が積み上がっていて星一族の戦士達が大食い競争を挑んでいるのだが一向に勝てそうな気配は無く、イムは笑顔でいなしていた。
「あんたね!!!ハツミにも手を出そうとしたってどういう事?私達も撃退したのに!!!」
マユナがとある人物に掴みかかっていた。
「いや...その今回はマジで後悔だわ。
でもお前ら2人はオレ様の魅力に気付かないのなんでだ?普通の女は喜ぶぞ?」
あたふたしている涙目の星一族の王子クラーガ。
「顔とか色々かっこいいのに」
倶全君と出会ってから最大音量の声を振り絞っているように感じられた。
「なぁ?だろう?まぁ仲良くやろうぜ?」
上機嫌なクラーガ。
倶全君はにこやかに
「良いよ」
と言った気がした。
「ねぇ、名前教えて」
うん?マスカリアの横にいる女の子。
あの子が3人目?の強者、間違いない。
「我が娘が気になるのか?」
全天さんは一向に酔う気配が感じられない。
「とても強いわね?」
全天さんは頰を赤くして。
「自慢の娘だ」
全天さんの言葉に私はこそばゆく感じた、父を思い出して。
電話しようかな、お父さんとお母さんに。
「それでね協力してくれる?それでもし敵対するなら、私も何か考えないといけないわ」
クラーガの目が若干怯えていたし、全天軍の面々からも笑みが消えた。
「闘え...我と」
全天は真剣だった。
「それで良いのね。そしたら私がこの地を離れて2度目の日が上がったらカゲードさんの座する場所で戦いましょう」
笑い声が聞こえてくる全天軍の。
「なぁ?やっぱし全天様と闘うのは避けたいって事だろ!?」
全天軍の1人が私に詰め寄ってくる。
その様子をクラーガはうつむいて大きな溜息をついていた。
「そういう事じゃないよ。
父上は...勝てない。でも何か理由が欲しい明確な。
今の貴方の様に父はもしかしたらアオナさんに勝てるかもしれないそう何処かで信じてくれているから、わざわざ足を運んでくれたのよね?私達はそれで十分嬉しいから」
全天の娘さんは微笑んだ。
「ミリフィム様...お言葉ですが我々は強い、それが現実です!」
若い全天軍が集まってくる。
「強いのは認めるわ。譲れないなら、それでも構わないでも、明日どうしても向かう場所があるから遺恨を残したくは無かったのだけども?」
私は全天軍の面々に聞こえる様に言った。
「揃いも揃って聞き分けがなってねぇな!!!試合は2度目の日が上がったらだ!
我は納得した。おい若いの!!ありがとな、でも後で説教だ」
全天さんは笑っていた。
「戻れ...お前ら」
クラーガが最低限の聞こえる程度で呟くと。
「...星一族の面汚しめ」
クラーガに冷ややかな視線が突き刺さる。
私が溜息を1つついたら。
「ねぇ、星一族の戦士でルヴァイを圧倒出来る強い戦士はいるかな?」
マテハが問いかけたとても穏やかな綺麗な声で。
「そりゃあ、全天さんと...王子なら可能性があるだろう」
「そう、アオナはルヴァイ相手に笑っていた、余裕の笑みで。意味が分からないというなら私が剣で教えてあげるから挑戦しに来てよ」
マテハは薄っすらと威圧を放っていた。
私はシアの持っていた剣を取り出そうとしたらいつのまにかミリフィムさんが隣にいて。
「パパの事、みんな信じて、心の底から信じてついて来たから。
だからそう簡単には納得いかないと思う」
そう耳打ちしてきた。
「星一族の諸君。なんならマテハの代わりに
私でも良いぞ?」
そこには笑顔の或天さんがいた。
(「急に認めろなんて、おこがましいと思う」)
「「「「「!!!!」」」」」
この念話は全員に向けてで、彼こと魔皇の念話だった。
(「ハツミ...悪い、俺へこんでいた。
メイユールの事で。でも、もう一旦大丈夫だ。
試合は後日だなんて気を使ってくれてありがとう、俺が伝えるよ」)
私だけに聞こえた。
貴方がいないと何にも出来ないんだね、意外と私は。
斗羅は苦笑していた、そして...。
(「ご存知の通り僕が魔皇ミラース・ラーバ・ラーサだ。星一族の戦士、そして王達よ
無理強いはしない、しかし協力してやって欲しい。
これは我々の悲願なのだ。
頂点に君臨する強い人間等を遥か超える為に僕はお前達を創った。
新たな剣を得て"この世“を切り裂くが良い、働きを期待している。
今回は自由意志だ。善処する様に僕も対応しよう以上だ」)
白亜剣は静かに浮いていた。
私は彼に頭を下げた、ありがとうの意味を込めて。
きっと魂という流れがあるなら、私は最強に成るべくして生み出されたんだろう。
でも私は個として非常に強い魂だろうけど
星座として万物を象る星々の様に魂が連なった方がより輝く力を持つのだろうと思う。
私は色んな星に支えられて最強になれるのだと心より自分を信じている。
「魔皇...様、我々星一族は貴方様の言葉をしかと受け止めよう。試合はアオナが良いなら特に必要無いが」
全天さんは明らかに涙を拭った、後だった。
「遺恨が無いなら闘う必要はないわ。私の強さは見てくれればいいと思うし」
その後、私は魔皇の秘蔵っ子という認識で認められていた。
星一族の戦士達はばつが悪そうな、照れを隠す様な、涙を拭う様な、色取り取りの姿を見せていた。
私はそんな彼等が可愛く思えていた。
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