第9話 変な人(?)が湧きました
第9話 変な人(?)が湧きました
「はい、お疲れ~w」
視界がホワイトアウトし、元に戻るとほぼ同時に拍手とものすごく軽い感じの言葉が聞こえた。咄嗟に戦闘態勢をとったカイヤは周囲を見渡し、斜め上に浮いた、ぼさぼさ頭に眼鏡をかけて白衣を着た-ある意味テンプレな人物を発見して怪訝な顔をする。
「待って、なんでボクそんな不審者見るみたいな目で見られてるの?」
――身嗜みを整えてない見知らぬ他人は誰がどう見ても立派な不審者である。むしろ変質者を見る目で見られないだけましではないだろうか?
「なんかごめんなさい? 謝るからその目やめてもらっていい?」
泣く一歩手前の表情で懇願されたカイヤは仕方なさげに溜め息をつき、武器を仕舞った。
「‥‥見た感じだと話に聞いていた所謂GMとか言うのっぽいが、一応尋ねる。誰だ?」
「‥‥AIからのヘルプコールに吃驚して慌てて来た、所謂管理責任者の人です‥‥」
カイヤに胡乱げな目で見られながらの、一見職質っぽい雰囲気にしょんぼりしながら、不審者――本人曰く管理責任者は答えた。一方でカイヤはというと“管理責任者”という言葉に呆れた表情になり、再び溜め息をついた。
「人前に出るなら身嗜みは整えた方がいいと思うが‥‥」
「まだチュートリアル中の人しかいないはずなのに、AIからGM飛び越えて管理責任者のボクにコールが入るなんて思わなかったんだよ! 慌てるのも仕方ないと思ってもらえないかな!?」
泣く手前――どころか既に半分以上泣いてる状態で管理責任者が訴える。が、訴えられているカイヤはどこ吹く風で、興味なさげに周囲を見回していた。
「きいて!?」
「‥‥ダンジョンからはちゃんと出られたのかの確認を‥‥」
「出られてるから! そのダンジョンのせいでボク呼ばれたんだからね!?」
取り敢えず、話を聞くしかなさそうだ――溜め息を吐きながらも、涙目で訴えかけてくる管理責任者の相手を、やっとまともにし始めるカイヤだった――
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