傀儡探偵は今日も謎を金にする ~※この物語にはクズしか出てきません!~
黄鱗きいろ
第1話 探偵は傀儡である
「は、犯人はお前です!」
舌足らずな発音のボーイソプラノが、犯罪者を告発する。
声の主はふわふわの髪に大きな眼鏡をかけた、かわいらしい少年だ。
彼の名前は芹沢アザミ。今売り出し中の少年名探偵――ということになっている。
アザミが指さしているのは、宝石商として屋敷に出入りしている女だった。
事件としては割と単純。この屋敷から盗まれた金品を探してほしいというものだ。
その依頼の調査のためにアザミが屋敷を訪れたところで第二の窃盗が起こり、死人まで出た。今この状況はその断罪の真っ最中というやつだった。
犯人だと言われた女性はうろたえている。周囲もざわめきだした。
しかし、そんな探偵の後ろにそっと歩み寄る長身の影があった。
「アザミくん」
低く落ち着いた声が背中からかけられ、大きな手のひらがそっと彼の手を包み込む。
そのまま声の主は、すすっと彼が指さしている方向を変え、アザミの指先を別の人物へと向けさせた。
「はい、もう一度どうぞ」
「犯人はお前です!」
高らかにアザミ少年は言い直す。
彼が指さす先を変えた妖艶な雰囲気の男――助手を自称する桜椿子は、満足そうにうんうんと頷いている。
なんだこれ。
それが、この場にいる人間の総意だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます