第17話 From now on(17)
「観覧車、おもしろかったね~~、」
沙耶は無邪気に笑った。
「おなかすいた? 昼メシ食おうか。」
結城は沙耶と手をつないで言った。
「うん、」
前から約束していた妹の沙耶と1日おでかけの約束を果たしていた。
天気が良かったのでお台場までやって来た。
レインボーブリッジを見上げて、夏の日差しをイヤというほど感じる。
お台場・・
結城はふっと思い出した。
「ハイ、じゃあ次の子・・やってみようか。 おいで~~、」
あゆみは子供向けの新ゲームのブースでイベントコンパニオンをしていた。
「できるかな? お姉ちゃんと一緒にやろうか。」
小学生の女の子の手を引いた。
「じゃあ、おうちの方はそちらでお待ちくださ・・」
と顔を上げると結城が微笑んでいた。
「は・・」
思わず絶句した。
「びっくりしました・・。」
あゆみはおいしそうにパスタを食べる沙耶を見ながら言った。
「今日は前から約束しててね。 おれぜんっぜん実家に帰らないし。 親、忙しいから沙耶も寂しいみたいで。」
結城は頬づえをつきながら笑った。
「こんなに小さな妹さんがいらしたんですね、」
「ん、」
タバコに火をつける。
「あ、お兄ちゃん。 タバコはやめたほうがいいよ。 この前テレビでやってたもん。 タバコ吸うと肺がんになるよって!」
沙耶はすかさず言った。
「あ?」
「長生きできないよって!」
それには笑って、
「しょうもない情報を仕入れてくるなあ。」
「でも。 タバコは百害あって一利なしっていいますから。」
あゆみは笑った。
昼休みで一緒にレストランに入った。
あゆみはコンパニオンの衣装にコットンのシャツを羽織った格好のまま食事にやってきた。
結城は出したタバコをまた箱に引っ込めた。
「たいへんだね。 イベントコンパニオンも。」
「でも。 今回は子供たちのイベントなんで。 けっこう楽しいです。 ほんっともうかわいくって、」
あゆみは顔をほころばせた。
子供たちに接する彼女の笑顔は無理をしているわけでもない自然の笑顔だった。
「大変だよね。 休みなのに、」
「明日は完全休養日ですから。 ようやく店を変わってからのペースができてきて。 前よりはラクですから、」
と笑顔を見せる彼女に
「・・無理しちゃって、」
結城はふっと笑った。
「え、」
あゆみは顔を上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます