穴の中にいたのは?2

「えぇ、同じ村の住人デス。突然村が隣国の兵士達に襲われなすすべもなく捕らえられた私達は隣国の奴隷収容所に連行されマシタ。


数日間、満足な食事も与えられず衰弱した私達をどこかに奴隷として転送しようと思っていたのデショウ。


私達は全員魔方陣に乗せらたところで、魔方陣が起動したのデス。」


女性の言葉にヒロシは言葉を失う。


だが、エレメントスでの異世界経験があり元々75歳のヒロシのこと、すぐに我に返り笑顔を見せる。


「大変な目に遭ってしまいましたね。ここならもう大丈夫ですよ。


皆さんお腹が空いているんじゃないですか。今食べ物を持ってきますね。」


「皆さーん!お粥が出来ましたよー。今から配りますねー。」


ちょうどミーアがお粥を持ってきたようだ。


厨房の近くからミーアがお粥を配っているので手伝いに行こうとした時、女性が声を掛けてくる。


「わたしもお手伝いさせてクダサイマセンカ。」


「ええ、よろしくお願いします。」


「ありがとうゴザイマス。わたしレンといいマス。」


「じゃあレンさん、お手伝い頂けますでしょうか。ですが、あなたもまだ衰弱状態ですので無理しないようにお願いしますね。」


「わかりました。お気遣い有難うゴザイマス」


「あのー、わたし達もお手伝いさせて頂けますでショウカ?」


レンさんの近くにいた数名の女性が手伝いをかって出てくれる。


「皆さん、有難うございます。では無理をしないようにお願いしますね。


ミーア、お鍋をこっちに持って来れるかい?」


「大丈夫ー。こんなの軽いからねー。」


腕をいっぱいに広げないと抱えられないような重そうな土鍋を軽々と抱えながらこちらに向かってくるミーアを驚きの目で皆さん見ている。


そうだ俺も忘れてたけどミーアって魔人だったっけ。


ミーアが机の上に土鍋をドカッと置いている間に、数人の女性を連れて取り皿を取りに行く。


ちなみに取り皿とスプーンはお粥を炊いている間に土魔法と火魔法、風魔法を使って大量に作っておきましたよ。


取り皿を持って戻ってきた時には皆さん土鍋の前に整列してますね。


もちろん子供達が前に並んでいるんだけど、この辺り秩序正しい民度を感じるな。


「さあ熱いからね。ゆっくり冷ましてから食べるんだよ。あっそうだ、レンさん、何人かで子供達が食べるのを補助してあげて頂けますか。


残りの方はわたしと一緒に配るのを手伝って下さい。」


ミーアはまだ立てない人達にお粥を配って回っていた。


次々にお粥を手渡ししながら喜ぶ皆さんの身体の調子を見ていく。


列に並んでいる人達は疲労と空腹で衰弱しているものの健康そのものには特に問題なさそうな感じだな。


皆さんホッとした嬉しそうな顔をしながら順序良くお粥を受け取っていく。


「さあゆっくりとお召し上がりください。まだお代わりはいっぱいありますからね。


お手伝い下さった皆さんもお疲れ様でした。さあ、こちらをお持ちになってお召し上がりください。」


子供達の面倒を見てくれている人達の分も持って手伝ってくれていた女性達もそれぞれの家族の場所に戻っていった。


お代わりについてはみんな遠慮していたが、最初に子供達が列に並び始めたので、

大人達も次々とお代わりの列に加わり始める。


「ミーア、こっちちょっと代ってくれるか。追加分を用意してくるよ。」


「わかったよー。」


立ち上がれない人達の介助をを食べ終わった女性達が見てくれるようになったので俺はお粥の追加を作りに厨房に向かった。


「次は少しご飯の量を増やした方が良いかな。」






2度ほど追加の調理をしたらようやく皆さん満足してくれたようで、一様に幸せな顔つきになっていた。


とりあえず一安心していると、立ち上がれなかった内の1人の老人が、数人の男性に抱えられてこちらに向かってくる。


「この度は我ら村人を保護シ、このような部屋と充分な食事をお与え下さいましたこと、村人を代表して御礼申し上げマス。


わたしハ村長のカザミと申シマス。


突然のことで私どもも何が何か分からなくて憔悴しきっておりまシタガ、ここにきて村人みんなも落ち着きを取り戻してきたようデス。


ヒロシ様 有難うゴザイマス。」


「カザミさん。ご心労ご察しします。レンさんから概ねの話しは聞きました。


目的があってこちらに送られてきたのか、たまたま誤作動で送られてきたのか私にはわかりませんが、ここに居られる間は大丈夫ですので安心して健康を取り戻してください。


しばらくこの部屋で過ごしていただくことになりますが、皆さんの居住環境はこれから用意させて頂きますので。


とりあえず家族構成を教えて頂けますか? 立てる軒数と広さを決めたいと思います。」


「ヒロシ様、有難うゴザイマス。我々はこの部屋だけでもお貸し頂ければ充分なのデスガ、わたし達の居住区までご提供いただけるトハ本当に夢にも思わないことデス。


家族持ち用に5件と独身男用に1件、独身女用に1件頂ければ大丈夫だと思いマス。


ヤムル、シンブ、お前たちはヒロシ様のお手伝いをスルノデス。」



「じゃあヤムルさん、シンブさん早速始めましょうか。」


ヤムル、シンブと呼ばれた2人の若い男性がヒロシの言葉のうなずいて後についていく。


「この辺りで良いかな。ヤムルさん、家族用は何部屋必要ですか。」


「厨房と食事の間が兼用で1部屋、後は3部屋もあれば充分カトオモイマス。


独身用はベッドが5つおける大部屋が3つもあれば充分デス。」


シンブもうなずいている。


「わかりました。じゃあその7棟にはトイレもつけてっと。風呂は共同浴場を男女別に2つで良いですか?」


「風呂というモノがよく分からないのデスガ?」


「風呂に入る習慣が無かったのですね。ここは温泉がでますからねえ、気持ちいいですよ。」


2人は首をかしげているが、まあ大丈夫だろう。


「さあ始めましょう。」

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