暗闇
慧
夏
空高くには太陽が光り輝き、蝉たちは五月蝿いくらいに曲を奏でる。
滝のように汗は流れ、体は水分を求める。なんとも煩わしい季節。
プールや海に集まれば、わいわいと騒ぎ、夜になれば花火や祭りで盛り上がる。
リア充には楽しい季節。
熱いのが苦手な僕にとって、この季節は地獄でしかない。
外に出れば灼熱の炎に焼かれるように暑いのに、建物に入れば北極のような寒さ。
寒暖差に体はついてゆけず、たちまち体調を崩す。
醜い模様を見せつけて歩かなければいけない夏は四季の中で一番嫌いだ。
一番は外に出ないことだが、今日のタイミングを逃せば次はないと確信し灼熱地獄への扉を開く。
醜く不快な模様を見せびらかしながら、堂々と迷いなく歩いて行く。
景色を見渡し、その美しさを目に焼き付ける。あぁ、涙が出そうだ。
溢れそうな涙を堪え、大きく深呼吸をする。
太陽に少し近いせいか、とても暑い。空を見上げ宙を仰ぐ。
それはまるで、プールに飛び込むバカみたいに。思い切りベットにダイブするように軽やかに。自由に飛び回る鳥が飛び立つように、勢いよく。
夏休みの最終日、少年は空に飛び込み、灼熱地獄から抜け出すことに成功するのであった。
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