親友との休日
缶ビール片手に愚痴大会。24歳の宅飲みはこんなものだ。
泥酔してしまうまで飲み、翌日、二日酔いによる頭痛に頭を悩ませる。
タバコの煙を吐く私に「今日は、良い日だね。」なんて笑いかけてくれる、唯一無二の親友。中学の頃からの付き合いで、私の1番の理解者。
ティロリン ティロリン───♩
聴き慣れた着信音は部屋中に響き渡り、頭痛とも共鳴してなんとも不快なハーモニーを奏でる。
いつもは、ドキドキする着信音も今日はなんだか穏やかに聞こえた。
なり続ける携帯をBGMに日課のラムネを頬張り、顔を洗って、身支度を整える。
今日のために買った可愛い服を着て、不慣れな化粧を施し、買ったのに一度も履かなかったブーツを履き、白い世界への扉を開く。未知の世界に飛び込むように軽やかな足取りで賑やかでありながら、静かすぎる部屋を後にした。
親友に励まされながら、歩き続ける。
不機嫌そうな空は私の感覚を狂わせていき、目的地に着く頃には体力の限界を感じていた。
気づけば日はすっかり落ちきって、空はいつの間にご機嫌になっていた。
少し綺麗めな場所を探し横になる。
視界いっぱいに広がる満天の星。静かに、でも強かに存在を示すお月様。
「綺麗だね。」
そうつぶやく親友の横顔は嬉しそうでもあり、寂しそうでもあった。
「そうだね。こんな綺麗な景色見れてよかった。今日は本当にいい日なのかもね。」
そう言って笑って見せた。
そんな私を見て彼女は少し悲しげに言った。
「また会えるよね?私たち親友だもんね。」
「会えるよ。探しに行く。」と私は間髪入れずに答えた。
「私も探しに行く!」と言ってガッツポーズをする彼女の顔には笑顔が溢れていた。
「ふふふ───。」
久々に2人して声を上げて笑った。
笑い疲れたのか不意に睡魔が襲う。
ウトウトとしている私に親友は
「お疲れ様。ゆっくりと休んでね。」と優しく声をかけてくれた。
薄れゆく意識の中、目が暑くなったのがわかった。
「ありがとう。」言葉にはできなかったが心の中でそっと呟き、意識を遥か遠くに手放した。
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