日常編

べる

女子会

―――――何故?――――

ポートマフィア遊撃隊・樋口一葉の頭には疑問しか浮かばない。彼女の部屋にポートマフィア幹部尾崎紅葉、黒蜥蜴の銀、探偵社員の与謝野晶子、泉鏡花、谷崎の妹ナオミ、元ギルド構成員ルーシーが集まっていた。女子会なるものをしようと企画されていたのだ。事の発端はナオミである。


「鏡花ちゃんも探偵社に入ってお仕事には慣れてきました?」

ある日、ナオミが問いかけた。

「はい、仕事はもう覚えました。」

鏡花が答える。異能も自在に使えるようになり、鏡花は確かに仕事が早くなっていた。

「うふふ、良かったですわ。でも仕事ばかりしていてはダメですよ?息抜きもしっかりするんですのよ。」

「息抜き・・?」

「はい、どこかへ遊びに行ったりとか、誰かと会ったりとか。」

考え込む鏡花。これまで任務ばかりこなしてきた鏡花は息抜きというものにあまり馴染みがないようだ。

「じゃあ今度のお休み、一緒にどこか出かけます?」


その結果が何故私の家で探偵社もポートマフィアもギルドもごちゃまぜの女子会になっているのだ!?樋口は頭を悩ませる。

「あ、あのぅ、何でうちなんですかね?あと、そのー、メンバーも・・」

樋口は恐る恐る尋ねた。

「あら、大勢いた方が楽しいでしょう?それに鏡花ちゃん、女子会したことないって言うんですもの。」

ナオミが平然と答える。

「もっと広い場所で盛大にやっても良かったんじゃがのう。首領がマフィアビルの広間を貸してくれんでのう。全くケチな男じゃ。まぁ、狭くてもこうして鏡花の近くに居れると思うたらこの部屋も悪くないのう。」

姐さん、さすがに女子会にマフィアビルの広間借りるのは無理でしょうよ。あとさりげなく部屋ディスるのやめてください・・。当の本人である鏡花はナオミと紅葉の間で目の前のお菓子の山に目を輝かせている。

その時キッチンから声が聞こえてきた。え?と嫌な予感を感じながら振り返ると与謝野が包丁をじっくり吟味していた。

「ふぅん、普通の包丁だねぇ。悪くはないけどこれじゃあ半殺しにできない。」

家庭用の包丁で半殺しなんて出来るわけがないだろう。そして人のキッチンを勝手に漁るな。どこから突っ込めばいいのか。

銀は―――――かわいい。

今日はいつもの勤務中の黒服ではなく、白いワンピース姿だ。髪も下ろしている。

 「じ、実は私も女子会というものは初めてで・・。兄に楽しんでこいと言われてきたのですが。」

 かんわいいっ!そして芥川先輩お優しいっ!芥川先輩の情報ありがとう、将来の妹よ!

 あとは・・ルーシーさん?えーと、私あまり面識無いんですけどー。これどうすればいいの。彼女も気まずそうだし。


 樋口が出した結論。んーー、無理っ!この人たち私の手に負えないっ!部屋貸してんだし、お菓子くらいはたらふく食べよっと。


 その後の記憶はあまりない。たらふく食べて、与謝野さんが持ってきたワインも飲んだような気がする。気がつけば日付が変わる頃だった。他の一同は思い思いの場所で眠っている。寝ぼけてまだしっかりと働かない頭であれ?と思う。この人ら泊まんの?

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