第56話 ドキドキし過ぎると眠くなくなるよね

救世主に懇願の目を向ける

すると気付いたお姉さんはニコッと笑いかけてくれた


「何をしているのですか?」


「うちの可愛い可愛い娘にちょっかいかけてる男に教育をしている所だよ」


お父さんはお姉さんの方を見向きもせず僕を威圧してくる


「な!に!を!しているのですか?」


お姉さんから冷たく重い空気が発せられる


「ハッ!!!いやっ、あの…いや」


「なんですか?」


顔は笑顔だがめちゃくちゃ怖い

お父さんなんか目じゃないくらい怖い


「あの…えっと…クレアが気に入ってる男がどんな奴かと…」


「それだけなのにあんなに威圧を?」


「いや…あの……クレアに気に入られてるのが面白くなかったので…」


「素直に言えましたね。よろしい、ではルーカス君に謝ってください」


「………」


「ふぅん…あなただけ夕食抜きね」


「それはやめてくれっ!謝るっ!謝るから!」


「それならはやくしてください」


「……正直君の事は気に入らない…だが少々大人気なかったと思う。すまなかった」


目の前で繰り広げられる光景の情報量が多すぎて頭が回らない

なにか謝られた気がするけど僕はそんなことなどどうでもよかった


「あなた…ってことはもしかして……」


「ふふっ、お世辞でも嬉しかったわよ」


お姉さん?がウインクをしてくる


「おまっ、うちの嫁にまでっ!!」


「あなたっ!!」


僕に襲いかかろうとしながらお父さんが嫁って言った

確実に言ったよな?

アンビリーバボー


「あ、あなたがクレアのお母さん!?若すぎませんか??」


「んふふ、君は女性を褒めるのが上手だね」


そう言いながら笑うお母さんはどう見てもクレアの少し上くらいにしか見えない

だが15でクレアを産んだとしても30近いはず

もしや魔人はみんなこんなに若々しい感じなのか?


その後クレアも合流して一緒に晩ご飯をご馳走になった

初めて見るいかにも高そうな食べ物が出てきた

こっそりクレアに聞くととんでもない値段で緊張し過ぎて味が分からなかった


「疲れた…」


流石に色んなことがありすぎた

師匠以外の他人の家に泊まること自体初めてなのにプラスアルファが強烈過ぎる


こんな大きなベッドで寝れる訳ないと思っていたが、疲れていた為気付くと寝ていた



ハッと目が覚めた

辺りは暗い

だが右腕が重たい

修行で痛めたか?

右腕に目を向けるとそこには…


「えっ!!」


思わず叫んだ

なぜならクレアがいたから


「ん〜」


ヤバい今ので起こしちゃった?

というかなんでいるんだよ!

しかもなんで普通に寝てるんだよ!!


結局僕は一睡も出来ず

朝方こっそり抜け出し修行をした

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