関口 陽(ひなた) (13)
「これで罠じゃなかったら……驚くぞ……」
どうやら、私達が居る棟に、迫撃砲で焼夷弾系の弾が撃ち込まれたらしいが……。
複数の出入口の内、一番大きい正面出入口は無事。
「そもそも、狙われてるのは誰だ?」
ランがそう訊いた。
「判るかよ……」
答えたのは「原宿Heads」のMC富三郎。
「でも、狙われれる人物が『魔法使い』か、それ以外かで手を変えてくる可能性が有んじゃないか?」
「なあ、ラン、お前なら、どんな罠を張る?」
「あそこから狙撃。多分、どの階からでも射線が通る」
ランが指差したのは……少し離れた場所に有る面会などに使われる第0棟。
「ちょっと待て……。私のカメラの画像から、あの建物までの推定距離と、あの建物の推定の高さを算出……ああ、シリアル・ナンバーを送ったアレで……すぐに計算してくれ」
「おい、誰と話してる?」
「『本土』に居る仲間だ。撃たれたら貫通する可能性は有るが……姿だけなら隠せるかも知れん。よし、遠隔操作開始」
「おい……何を……?」
「ギリギリだが……何とか間に合う筈だ。助けが来るまで絶対に出るな……」
「でもさ……何か、もう嫌な臭いがしてんだけど……」
「四谷百人組」の藤井詩織がそう言った。
「来る筈だ。3分以内に……」
「何が?」
「あれ」
ランが指差した先に有ったのは……。
「えっ?」
外でゾンビもどきを虐殺するのに使った工事用車両。
それが……この建物に近付いて来る。
「な……どうなってる? あ……あのさ……人が乗ってないように見えるんだけど……」
「ああ、だから『本土』の仲間が遠隔操作で乗っ取った」
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