高木 瀾(らん) (2)

『おい、ラン……お前、変な真似してないよなッ⁉』

 関口から通信。何故か動揺した声。

「変な真似って何だ?」

『ええっと……「アメ横」に人が居ない理由とか知らないか?』

「避難させた」

『……』

「どうした? 用が済んだなら……」

『ええっと……今、何て言った?』

「避難させた。客も店の従業員も一切合切。島の中心部に誘導してる」

『だ……誰が……避難誘導をやってる?』

「現場要員は……見物に来てる他の東京の『自警団』の人達で、ルートの指示その他をやってるのは……『本土』の『御当地ヒーロー』の後方支援要員で手の空いてる人達」

 しばしの沈黙……。

『お……お前……何やったか……判ってんのか?』

「人助け」

「ま……眞木さん……やっぱり、マズいよ、これ……」

 横から久留間さんが口を出す。

「その話……何回目ですか?」

『マズい。どう考えてもマズい。どれ位マズい事になるか見当も付かない程マズい……』

「何で、人命救助したらマズい事になる?」

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