第3話

そういえば、俺があの人と話すようになったのはいつだっただろう。

あの人が俺に話しかけできたのは覚えている。

俺が大学に来たのは1年前だから、

その少しあとのことだ。


春にしては少し肌寒い日だった。

大学に入った瞬間、吐き気が押し寄せ

道端で嘔吐してしまった時があった。


他の人が嫌な顔をして横を通り過ぎて行く中、

あの人は俺のそばに駆け寄り、

『大丈夫ですか?』と心配そうに屈み、

嘔吐物の処理までしてくれた。


俺は少し経ってから

『大丈夫です。すみません、ありがとう。。』

とだけ言い残し、その場を立ち去ろうとした。

するとあの人は俺を呼び止め、

『これ、どうぞ』と水を差し出してきた。


俺はそれを躊躇いながら受け取り、

その時はその場で別れた。


最初の印象は優しい人だった。






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シオン ~あなたを忘れない~ Tuna @yanosaku

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