第1話 「冒険の始発駅(前編)」

GM「よーしそれじゃあよろしくお願いしまーす!」


PL「よろしくー!」


あの日から、GM、頑張ってS氏のほかにプレイヤー(犠牲者)をあと2人見つけてきました、ふふふ




S氏

この企ての発端、対戦ゲーム自粛中な彼女をGMはだまくらかしてTRPGに誘い込むことに成功しました。


K氏

以前からTRPGやりたいねーと言っていたGMのファンタジー語りに付き合ってくれる優しい無脊椎動物です。 


B氏 

人を探していたGMに連れ去られてこられた被害者。




GM「よーし、じゃあキャラクター紹介行きましょー」


S氏とK氏は前日に、キャラクターをGM立ち合いで作りました、B氏は急遽参戦のためサンプルキャラクターを一体選んでもらいました。


S氏「はーい、私のPCはルイズ、人間のじゅうにさい!君かちゃんかはわかんない!」


B氏「若いな!あ、でも中世ならそんなものなのか。えーと、ヴァンパイアに玩具にされていて性別がわからない状態に・・・重い!」


S氏「経歴表で「誰にも言えない秘密がある」がでたからこんな感じにしてみた、ヴァンパイアはルイズくんちゃんを暗殺者にしようと思ってたから、剣術を仕込まれてるよ。(フェンサー2lv)んでもってある日、神の声を聴いて、月神シーンの神殿に逃げ込みました(プリースト1lv)」


GM「神様に助けられた感じですね、シーンは虐げられるものの神様でもありますからね」


S氏「性格はニヒルな感じ、だけど神官ってところが意外性がある感じかも」


GM「すばらしい!こういう因縁のありそうな設定はGMとてもたすかります」


S氏「冒険者志望ってことでいいんだよね?」


GM「はい、皆さん事前に見せてもらった感じだと何かしら別の生き方が必要になった感じのかたが多いので、この世界で一番身一つでやれるのは冒険者ですからね、では次Kさん行ってみましょう」




K氏「はい、えーっと名前はサード・ディー、リルドラケンのグラップラーです」


GM「拳闘士、拳で戦う戦士キャラですね、でも経歴は商人なんですね」


K氏「はい、かつて商人をやっていたんですがはめられて、拘束されたことで毒を飲ませられたりしました、そこを友人の助けで逃げ出せたんですが、指にマヒが残っています」


B氏「重い!」


K氏「いやー「命を助けられたことがある」ので一回死にかけないとな・・・とおもって、あとは能力値ダイスで器用度が異常に低かったのを理由に絡めて見ました」


GM「それを補うために《牽制攻撃》をとったんですねー、堅実な構成だ。では最後!Bさん!」




B氏「はーい、サンプルキャラクターの中ではこのナイトメアの重戦士(ファイター&コンジャラー)が気に入ったのでこれを使うことにしました、名前はカイ・ジルドゥ、経歴は振って決めました」


K氏「ナイトメアって、ほかの種族から突然変異的に生まれて穢れもってるんでしたっけ、あと生まれるときに角で母親が傷ついて殺しちゃうので差別されがち」


GM「ええ、穢れは一般人にとってはえんがちょな感じですね、とはいえナイトメアは能力が高いので実力主義の冒険者のなかではある程度受け入れられています。母親をころしちゃうっていうのは絶対ではないみたいですが」


B氏「いや、彼には絶対母親を殺してもらうという強い意志をもって天涯孤独の身になってもらいました、知人にTRPGプレイヤーすぐ親殺す!といわれたけど、経歴は「ギャンブルで身を崩したことがある」で目的は「王になる」でした」


S氏「スラムのガキから王になるやつじゃん」


B氏「なのでギャンブルで身持ちを崩す→王様に拾われる→王ってすげえ!となったキャラクターな感じです、親は物心ついた時にはいなかったのであんまり覚えていません」


GM「ナイトメアらしからぬ明るい感じだね、親のことをよく覚えていないし、王様がいい人だったんだろうねー」




PLの皆さん、ランダム要素をよく拾っていい経歴を作ってきてくれました、うれしい限りです、やたらめったら経歴が重い面々ですが、まあ冒険者なんてそんなものです!(そうかな?)




GM「よーし、じゃあキャラクター紹介も終わったところで早速導入に移っちゃいますねー」


K氏「いきなりだ!」


GM「さて、ここは名もない港町、皆さんはアルフレイム大陸に、海路か、陸路か、あるいは鉄道でやってきました」


B氏「鉄道?鉄道がある世界観なんだ」


GM「ソードワールド2.5は一般的なファンタジー世界と思っていいんですけど。一度栄えた文明が2回、滅びている世界で、そのうちの2度目が魔動機文明と言って、現代文明に近いような発展をとげた世界でした、アルフレイム大陸には魔動機文明の鉄道などの遺跡が多くのこっていて、それを復旧したものも走っています。」


K氏「あー、つまりよくあるファンタジーでありそうな設定は何でもできるやつ」


GM「ざっつらいとー はいでは皆さんのうちの一人、Bさんですね、が港町を歩いていると見慣れた男が因縁をつけてきました」


B氏「げっ あれですか、さっきの戦闘の説明の時に戦った…」


GM「はい、チンピラのリアルですね」


チンピラのリアル「チュウ兄貴!こいつです」

兄貴のチュウ「お前、ちょっと面かしな!」


GM「町の住人たちはトラブルの気配を察して後ずさっていきます、そうして人の波が引くと… あなたたち3人が取り残されていました」


S氏&K氏「うちの子もめんどくさがって下がりそうだけど」


GM「いいえ、あなたたちは腕に覚えがあるので、チンピラに絡まれてるな、かわいそうに…といった感じで、危険は感じてない感じですね」


K氏「なるほど」


兄貴のチュウ「馬鹿野郎!3人いるとは聞いてねえぞ!ええい、やっちまえ!」

PL達「巻き込まれた―!」

GM「というわけで戦闘を開始します、適時反応してもろてー」


B氏→カイ「巻き込んで済まない!手伝ってくれ!」

S氏→ルイズ「しょうがないなぁ…」

K氏→ディー「無言で武器を構える」


さあ、初めての戦闘です!今回は簡易戦闘を選択しました。

とはいえ、チンピラたちはしょせんlv2の人族の匪賊たち、命中ダイスが腐らなければ、難しい相手ではありません。


カイ「こいつ!まえよりすばしっこくなってやがる!」

…早速腐っていますが


ルイズ「GM! 投擲試してみたいです!」


おお、戦闘スタイルを試行錯誤してくれてる、彼女の持っている武器は、投擲も可能な短剣です、問題ないでしょう、えーと「乱戦エリアへの射撃は誤射の可能性があります、《ターゲッティング》があれば防げる」なんてこった


GM「えーと、投擲は問題なく行えますが、誤射の危険性がありますね」

ルイズ「まあ、大丈夫でしょ!」


その意気やよし!


カイ「うお!あぶね!」

ルイズ「うごくと…あたらない(ムスッ)」

カイ「俺は敵じゃねえ!」


うん、結果としてPCの個性が出てきたような気がします、しかしこれは投擲を生かせるような戦闘を考えないとな…


とはいえ、PCたちは無事、チンピラたちをたたきのめすと、衛兵に引き渡します。


ルイズ「血で汚れた… ねえGM、ひょっとしてチュウとリアルってことは…」

GM「はい、チンピラのチュウとリアルです」

PL「安易!(一同笑)」


こういった小ネタを拾ってもらえると大変うれしいものですね。


GM「では、みなさんが衛兵にチンピラどもをひきわたしていると、獣耳の生えた男性と、ルーンフォークらしき女性が、あなたたちに近づいてきます」


リカントの男性「さて、冒険者志望の若者たちを連れに来たんだが・・・君らで間違いないようだな」


ルイズ「いぬ?」


リカントの男性「いぬじゃない、狼だ」


リカント族は獣、特に肉食獣の特徴をもつ種族、ルーンフォークは魔動機文明時代に作られた人造人間です。


GM「彼らはあなたたちがそれぞれ目指していた冒険者の宿の店主と受付嬢のようです」


ルイズ「偶然一緒になった感じ?だね」


受付嬢「見つける手間が省けましたね、それに腕も確かなようです」


店主「うん、では詳しい話は道すがらするとして、店のほうに向かうとしよう」


GM「ということで、皆さんは店主たちに連れられて、駅のほうへと連れていかれます、あ、その前にちょっとですね」


店主「そこのリルドラケンの君は怪我をしているようだな、あと、散らばっている銀貨だが…そのままにしておくと通行人の者になってしまうぞ」


というわけで、ここで回復魔法と、戦利品判定のチュートリアルを挟むことにしました


カイ「銀貨落としてるぞ!?!?もったいないもったいない!(一枚一枚丁寧に拾い集める)」


ルイズ「(PLに戻って笑いながら)そういう感じなの?」


カイ「経歴でギャンブルで身を崩したことになってるから…」


ディー「あのー、治療をしてもらえると…(血だらだら)」


ルイズ「(PCに戻って)ばっちいなあ」


店主「傷がふさがれば、ばっちくなくなるぞ」


ルイズ「それもそうか、【キュア・ウーンズ】!」


ディー「ありがとう、君は司祭さんなんだね」


ルイズ「べつに…」


ソードワールドの世界において、司祭とは神の声を聴いた存在です、ルイズ君はちょっとアウトローな感じのキャラづけではあるんですが、神の声を聴いたことがあるという、なかなかおもしろい感じの二面性を持っていますね


ちなみに、GM、ここでおおきな勘違いをしています、【キュア・ウーンズ】は2lvの魔法でした、ルイズ君はここでは使えなかったのです。


店主「では、列車を待つとしよう」


カイ「列車…って聞いたことあるぞ!走る箱みたいなやつだろ!?(足の生えた箱を想像している)」


受付嬢「この辺りには魔動機文明の遺産が多く残っていますからね、みなさんの故郷に鉄道はなかったんですか?」


カイ「そういう”やつ”は俺の住んでたところにはいなかったな」(列車を生物か何かかと思っている)」


ディー「故郷には無かったけど商人として仕事をしていた頃に何度か利用しましたね」


店主「君は商人だったのか、にしては腕がたつようだが…」


こういった会話からキャラクターの設定が生まれていくの、TRPGの醍醐味って感じがしますね。


カイ「キングスフォール、モフモフの集まる国かあ…(列車がモフモフの生き物だと思っている)」


GM「では列車を待ちながら、それぞれ自己紹介をしたということにしましょう、さっきのそれぞれのキャラ紹介の内容はここで伝えたということでー(秘密にしたもの以外は)」


ルイズ「クレープ食べてたら、みんなにおいてかれたー(PLが離席中だったので雑談をしていました)」


カイ「よく食べるなあ」


ルイズ「育ち盛りだからね、お代は店主からせびったよ!」


GM「では、しぶしぶ出してくれました」


GM「はいでは、皆さんそろったところで魔道列車が一台、ホームに入ってきます(写真を取り出す)」


ルイズ「ディズ〇ーランドの蒸気機関車じゃん!!!」


GM「いやあ、アルフレイム大陸、アメリカモチーフらしいんで、ホームに蒸気をまき散らしながら(魔道列車の動力はチャージ式の魔晶石なのですがクズ魔晶石を補助動力として燃焼させています、白煙!ほしいですよね!)鋼鉄の巨体が、進んできます」


カイ「これが列車!?!?!?(モフモフの生き物を想定していたらしい)」


ルイズ「おっきい・・・」


店主「そう、そしてこれが君たちの宿となる」


ディー「?」


受付嬢「それではみなさん!移動式冒険者の宿、「ルブラン号」へようこそ!」



ディー「うわー、列車がそのまま冒険者の宿なんだ」


GM「ふふふ、ロマンでしょう、お気に入りの公式リプレイで移動式冒険者の宿が実験されてて、その有用性が認められつつある・・・ということで今回はこういった冒険者の宿にしてみました」




さて、新米GMと新米PL達の物語はここから始まるわけです、一同、汽笛を聴きながら、いよいよ始まる冒険に心を躍らせたのでした。




カイ「列車…モフモフ…」


落ち込んでる子もいますけどね!








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ソードワールド2.5リプレイ、新米GMと愉快な仲間たち @Mojad

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