私の手を握って・・・。
tudoi
第1話 何度でも・・・・。
握った手のひらからだんだん力が抜けていく
冷たく白く血の気のひいた白魚のような繊細な手
『ごめんなさい・・・。』
そうつぶやくと細く息をつき意識を失った。
『目を開けて!お願い・・・。おいていかないで!
周りから
21歳という若さでこの世を去ってしまった私の
彼女とは
生まれた時からの付き合いで、父の友人の娘さんでもあり小中高校まで一緒の学び舎であった。
『
結果彼女は21歳という若さで息を引き取ってしまうことになってしまった・・・。
私は彼女の
必ず彼女を助けてみせる!そう思い、受験し合格した。
なんとか
なんでなんだ!
ここまでの間かなり自分でも順調だったと思っていたはずなのにどうして・・・。
私もその部屋を出て両親に病院へ行ってくると言おうとすると母が手招きをし私を呼んだ。
『あなたのご友人で・・・
どくんと
見るまに私の顔から血の気が引いていくのがわかるほどその名前に
『実はね矢野さんって人が何度も
矢野は
以前矢野陽子から
『私と付き合ってほしい』
と言われていたのだがもちろん私には
しかし矢野陽子は
高校を出てからは
一度医大の学祭に
『この前の土曜日にね
初耳だった・・・。
『その時にねその前に矢野さんって方から
私はうすら寒さを覚えながらも、まさか・・・?という考えが頭から離れなかった。
外に出て缶コーヒーを買いに歩いていると目の前に矢野が飛び出してきた。
『
黒い
『今大丈夫?よかったらちょっと付き合ってくんない?』
相変わらず頭の悪そうな話し方をするな・・・と思いながらも
『缶コーヒー買いにいく間なら』といった。
どうせ話だけだろ?
『
『はぁ?』
『今ならさぁ・・・
『寝言は休み休み言えよ!冗談だろ?』
はっきり言って
『俺は、以前にも言ったと思うけど、
すると矢野はにやりと笑うと
『それでも
次の日に
その前に
式場に行く前に
病室で白くほっそりした
そのままご遺体の搬送は業者がしてくれるらしく私たちは
『本来は
そういうと式場のスタッフに言われるままあの世へ旅立つ
大学から帰ってくるたびに何度も顔を見せにいけばよかった・・・。
とても寂しかったに違いない・・。
俺はいないし矢野からは不安な話しかしてもらえず最後は悲しい気分のまま亡くなったに違いなかった。
後悔してもしきれない・・・。
俺はなんのために医大にいったんだ?
悔しくて悔しくて涙があふれてきた。
そんな中、矢野だけは冷めた目で私たちを見ていた。
俺は絶対に矢野とは付き合わないし結婚も絶対にしない!
そう心に決めて
母に『私たちは別室で喪服の準備をしてくるわね』といってその場を離れた。
夜中に線香の火が絶えてはいけないとのことで渦巻状の線香を準備された。
こうすると長時間もつらしい・・・。
見た目蚊取り線香みたいだが仕方ないのだろうな・・・。
『ねぇ!勝谷くん!大丈夫?』
いつの間にか矢野が近くにいてびっくりした。
『お前帰れよ!』
『いやよ!まだ返事もらってないし!』
『だから無理だっていっただろ!しつこいな!』
俺はいらいらしながらつかまれた矢野の手を振りほどくとその場を後にした。
とてもじゃないけどやってらんねぇ・・・。
そこへ研修医としてお世話になっている病院から電話がきた。
『勝谷!こんな時にすまんな・・・。ちょっと戻ってこれないか?』
正直ほっとした。
『今から伺います。すみませんがよろしくお願いします。』
まわってきたタクシーに飛び乗り病院まで戻っていった。
病院につくと電話をしてきた俺の研修の担当医がやってきた。
『歩きながら説明するぞ!いいか?』
『大丈夫です。』
『先ほど抗がん剤を投薬した患者の容体が急変した。君には今から急変した患者の傍につきそい呼吸と心音の様子を見てもらう。今は少し落ち着いているがまた心拍数があがるようなら呼んでくれ!それまでに準備をしておく!』
『わかりました。』
『本来なら今日当直の人間にしてもらうはずだったんだがな、当直予定だった先生がいきなり
『大丈夫です・・・。おおかた先ほどお別れのための準備はしてきましたので明日またお通夜に行かせてもらえればそれでいいです。』
正直気がまぎれた・・・。
こんな言い方はないとは思うけど
だからじゃないが少しでも離れて研修医として役に立つ・・・。それで気がまぎれるのであればそれはそれでいいと思ってしまう。
矢野にしつこくされるのも気がめいっていた。
ここだと矢野はついてこれないので安心できる。
昔からだった
小学校に
給食の時に隣どおしで机をくっつけて食べようとすると割り込んでくる。
中学にあがるとさすがに私立に二人とも進学したから矢野はついてこないだろうと思ったらなぜか受験していて合格しているし。
そこでも昼休みにお弁当を二人で屋上で食べているとなぜか屋上にいて一緒に食べようとやっぱり
ここまでくるとストーカーかと思うぐらい気もちが悪くなり、とにかく
矢野の家は昔からきな臭い話が流れていた。
やくざの子供とか・・・高利貸しの子供とか・・・
裏社会の会長の愛人の子供とか・・・どれが本当かはわからなかったがとにかくかかわらないほうがいいというのだけはわかっていた。
だから告白されてもずっと断り続けていたわけなんだが・・・・。
病院の院長が部屋にやってきた。
『勝谷くんだったかな?患者の移動が終わったら院長室にきてくれ。』
『わかりました。』
じきに準備を終えた担当医が患者を運びにやってくるとその足で
『院長室に呼ばれたので私はこれで』というと院長室へむかった。
こんこん
『失礼します。』
重工なドアをあけるとそこに院長が背中を向けて座っていた。
『君の希望はなんだったかな・・・』
『外科です。』
『あーそうだったね・・・。
『え?
『そうだ・・・。あそこは
一瞬固まった・・・。
『院長先生・・・。私は今日婚約者をなくしたばかりでして…。』
院長はえ?という顔をすると
『いやいや何を言っているんだい…。先ほど君の婚約者だという人が私を訪ねてきたよ?』
一瞬寒気がした。
え?なに言ってるんだこの先生?まさか・・・。
部屋を出てトイレに入って頭から水をかぶった・・・。
少し冷静にならんとな・・・そう思っていた。
『あ!勝谷先生~大丈夫ですか?』
『みんなで心配していたんですよー』
みんな不安そうに私を見ていた。
『とりあえず明日お通夜に出席するためまたお休みいただくことになったんで・・・・。みんな悪いけどよろしくな。』
看護婦さんたちは気の毒そうに私に『お気を落とさないでくださいね』と言ってくれた。
みんな優しい・・・。
しかし院長に婚約者だと偽ってきたのは・・・矢野陽子?
まさかな・・・。
その夜…夢を見た。
小学校のころの夢で
すると怒鳴り声が聞こえてきてその怒鳴り声のほうをみるとでかい図体の熊のような男に何度も顔がつぶれるぐらい殴られている同じくらいの小学生の女子が泣きわめいていた。
すごく怖くて…死ぬんじゃないかと思うぐらい殴りまくっていた。
俺はいやになって…つか
殴られたその子は味噌っ歯を見せつつ
『ありがとう…』と言った。
なんで忘れていたんだろ?
つかこれってなんだっけ…。
この時本当に
関わりたくないとも言ってたと思う。
顔の変わってしまったその子とはそれから会うことはなかった。
『起きて!』
びっくりして起きた拍子に椅子から落ちた。
看護婦の
『大丈夫?
心配されるぐらいひどい顔をしていたのか?
『ほら!りゅりゅに最後のお別れ言いに行くよ…。』
なんでも小さいときに自分の名前が言えなかった
外にでると雨が降っていた。
いつの間にか暗くなっていて一日寝ていたんだな‥‥。それぐらい泣き疲れていたんだな…。そう考えるとまた眼がしらが熱くなってきた。
『
『ありがとう
泣きそうになりながらも呼んでくれたタクシーに乗り込むと斎場へ向かった。
『ついたら起こしてください。』
運転手にはそう伝えていた。
だからゆっくり眠れる・・・・。
少しでも寝るんだ・・・。
俺はタクシーの中で少しだけうたたねをしていた。
たくさんの人たちがお
生前の
小学校の時の友人も何人か来てくれててみんな一緒に泣いてくれた。
『勝谷くん小学校の時から
『あいつまだ付きまとってるの?』
『あいつ?』
顔を見合わせると
『矢野だよ』と言った。
『矢野ってさ…すげー
『いじめてた?』
『覚えてない?勝谷くんのこと諦めるまでやり抜くって当時息巻いてたんだよ…。知らなかった?
もしかして…
気のせいでありたい…。
そうこう言ってるうちにお
一旦自宅に戻って着替えを用意しないとと思いつつタクシーを捕まえようとしていたその時、矢野が目の前に現れた。
『なんでなの?なんで私じゃだめなわけ?』
何言ってるんだこいつ?って思いながらも無視してタクシーを捕まえようとした。
『お願いよ!私を見てよ!私はあなたに助けられて本当に感謝してたし、
『俺は君を助けていないし知らない!もうかまわないでくれ!』
『いいえ助けてくれた!暴力をふるう熊のような父から私を守ってくれたじゃない!あの時から私はあなたを愛している!お願い竜馬!私を見て!涼子ではあなたを幸せにはできない!だから…。』
『お前は
そう言いはなった俺に矢野は体当たりしてきた。
よろけた俺は…道路を飛び出す形で対向車線にきた車のライトに照らされ…
死んだ?
いや死んでない…。
気がついたら実家の自分の部屋で寝ていた。
俺…いつ帰ってきたんだろ?
そう思いながらベットから降りようとして違和感を覚えた…。
なんでベットの高さがこんなに高いんだ?
目の前の
『
俺…なんで小学生に?つか死んだのか?どうなっているんだ?
とにかく着替えて下に降りて行く
親父がコーヒーをすすりながら新聞を広げて読んでいる。
日常の朝だ…。
目玉焼きとベーコンがあってトースターからいい色に焼けたトーストがおいしそうだ。
カップに牛乳を注ぎ目玉焼きとベーコンを食べトーストにバターを塗って食べた。
常に牛乳をこくこくと飲んで口の中いっぱいにトーストと牛乳を溢れさせるぐらい入れてあるほうがとても幸せに感じでいた。
なんか思い出したな…そんなささいな幸せも忘れてしまうなんて…。
そうこうしているうちに
『竜ちゃんいこ!』
『おう!行こうぜ!』
『いってらっしゃーい』
なぜか死んだと思っていた
はかなげで白く陶磁器のように繊細なほっぺを赤く染めて
『竜くん?どうしたの?』
『俺…お前を絶対に守ってやる…。どんなやつからも!』
『うん!いつまでも一緒だね!』と微笑み返してくれた。
学校につくと教科書を入れているときに図書室で借りていた本が一緒に入っていた。
『あ!借りてたんだっけ…やべ!まだ読んでないや』
『じゃあ今から読む?つきあうよ』
すると怒鳴り声が聞こえてきてその怒鳴り声のほうをみるとでかい図体の熊のような男に何度も顔がつぶれるぐらい殴られている同じくらいの小学生の女子が泣きわめいていた。
すごく怖くて…死ぬんじゃないかと思うぐらい殴りまくっていた。
あれ?なんか…この光景みたことが…。
『あ…。』
忘れていたけど見た!
この光景忘れもしない…。
おれはさっさと
『竜ちゃん!竜ちゃん!あの子大丈夫かなぁ…。』
なんか心が痛い…。
先生に報告しておくか‥。
職員室に入ると先生に先ほどの中庭での話をした。
先生は血相を抱えて中庭に飛んでいった。
俺たちは教室に戻り授業の準備を始めることにした。
そこへ先ほどの先生が俺を
『勝谷くんが教えにきてくれたんだよ~お礼を言ってね。』
え?
そこには血だらけで
『ありがとう…』と言って…にかっと笑う
俺はまた間違えてしまったのか…。
どうしたらいいんだ…また
忘れていたとはいえ…なんで同じことになってしまったんだ…。
『俺は何もしていないから!』
そう言って席についた。
まわりからはひゅーひゅーとはやし立てる同級生の声が聞こえていたが無視した。
『大丈夫?竜くん…。』
どことなく
こんどこそ絶対に守らなくちゃいけない!
教室でふざけてプロレス技をしている同級生を見て俺はこれしかないと思った…。
身体を鍛えよう!
毎日朝早く起きて朝食前にランニングをする日課をつくった。
早朝のランニングは気持ちいい
全体的に体を動かしているとだんだん筋肉がほぐれて全体的にあったかくなる。
身に沁みわたるとはこのことだと思うほどにランニング後の牛乳は特に格別においしかった。
『いってきます!』
『いってらっしゃーい!』
朝の平凡な一日
一緒に登校する
今度は間違ったらいけない
何もかも以前とは違う!そう思いつつ彼女を守るために俺は身体を鍛えた。
学校では俺の見る限りでは
時々だが
そのうちブラジリアン柔術や空手などを習うようになった。
どんどん進化していく俺を
中学に入り俺と
もちろんそこには矢野も同じ中学に入っていた。
不安がないといえばウソになるがとにかく
矢野の入る隙間もないぐらい一緒にいればなんとか大丈夫だと思っていたんだろうな…。
ある放課後にいつも
『竜くん大変!
その友人の子と連れていかれたところへ行ってみると
『竜ちゃん…私…死にたい…。』
あちこちに痣があり股には赤い血がついていた。
明らかに輪姦されたあとだった…。
俺はその場でたばこを吸っていた数人の他中学の男子生徒を殴りまくった。
最初は息巻ていた周りの中学生男子だったがだんだん俺の格闘技系の強さに恐ろしくなってきたのか逃げ出そうとしだした。
俺は逃げようとするやつらも捕まえぎったぎたに殴りまくり
何人かは完全に顎の骨をくだいていたに違いない。
周りは血の匂いであふれかえり
その時の様子を見ていた同級生からは
魔王かと思うぐらい恐ろしい気迫があった。
と言わしめるほどだったという。
俺は
俺はそんな
『俺がずっと一緒にいてやる…。だから死にたいなんて言うんじゃねえ!』と言った。
あきらかに矢野の仕業だろう…。
他の中学の男子学生となんかつるんでるなって思って警戒していたらこれかよ…。
『竜くん…。』
俺はきっとにらむと『近寄るな!』っと叫んだ。
矢野はどうしても涼子を傷つけて俺と別れさせたいそう思っているようだった。
『そんなこと言うならもう徹底的に
卑怯なやつだ…。
『そんなことをしても無駄だぞ…俺に脅しは通用しない。』
矢野はにやりと笑うと
『でも
『いいのよ~
『てめぇ…
矢野はウフフと笑うと
『いいわぁ~そのぞくっとする顔…素敵…最高よね…。やっぱり勝谷くんは私しかいない…。
『何度も言うけどな…お前は
きょとんとした矢野はいきなり笑い出し
『確かに私は
俺はまず自宅に帰り母さんに
そして
『自分が責任をちゃんと取ります!だから
もちろん
『
次の日俺は空手道場の師匠に呼ばれた。
『ここで君にもう教えることはできない。悪いが次回からはもう来なくていいからな!』
信じられなかった
破門されたのである。
ブラジリアン柔術でも同じように言われた。
『納得できません!なぜ破門されるのですか?』
『君は空手を習っていない生徒に空手を使って喧嘩をした。そのおこないだけでも破門の対象になるのだよ!わかったら帰ってくれないか!』
俺はとりあえず強くなるために鍛えた。
他でとってもらえるかどうか門を叩いて聞いてまわったがどこも話がまわっていて断られた。どうしたらいいのか考えあぐねていた時…。
『君は勝谷 竜馬君かね?』
公園で鍛えていた俺にふいに80ぐらいのじいさんに声をかけられた。
『はい…なんで俺の名前を?』
目を細めてその人は
『私は
そういうと佐久間爺さんは俺に質問をした。
『君はなぜ格闘技を喧嘩に使ったのかね?』
俺は…あの時のことでいまだに苦しめられている…
けど
『そうか…間違いだと認めるんじゃな…。』
『はい…。でも俺にはそんなことに使うために習っていたわけではなく、彼女を守るためだったんです。』
佐久間の爺さんは少し考えると
『ついてきなさい…。』と言って俺をジムまで連れて行き稽古をつけてくれるようになったのである。
そこで俺は格闘技王と言われる強さを身につけて世界で活躍していくことになるのでした。
今度こそ
友達が怖い…。
そう植え付けたのは矢野である。
俺は矢野に対して怒りを覚えた。
俺は
久しぶりに学校に行ってみるとみんな俺をみて恐怖に顔をひきつらせた。
『やあ!竜馬くん久しぶりだね…。元気だった?』
俺は無言で自分の席につくと話しかけたほうに目をやった。
『矢野の腰ぎんちゃくか?』
話しかけた生徒はにやりと笑うと
『失礼だな…気を使って話しかけたのになんて言い草だい…。』と言って息をのんだ。
たぶん俺すげー怖い顔で
授業が始まりなんとか授業については理解していた。
前世では医者だったもんな…。
こんなん楽勝だな…。
そして情けないことにここまできて気が付いたのは…。
今回も
それでも格闘技の力はどんどん伸びるし筋肉は適度についてくる。
身長も180超えているものだから、だんだん周りの女子からはキャーキャー言われるようになってきた。
矢野は相変わらずだったが…。
俺は水瀬家に寄ることにした。
『
『んん…なんでもないよ…。竜君は中学どう?』
『
『でももう竜くんに愛してもらえないね…。』と寂しそうにつぶやいた。
なんでそんなこと言うんだよ!
俺は
やはりあの時に守れなかったのが悔やまれる…。
『あのな…
『竜ちゃん…。』
『絶対に幸せにするからうんと言ってくれ…。』
俺はそういうと指輪を
『竜くんありがとう…。』と言った。
『とてもうれしい…竜くんが傍にいてくれてよかった…。』
それが俺の見た
その時は急にやってきた…。
俺が
母からの電話で
享年14歳…原因は自殺だった…。
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